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病気が原因の不妊治療に新たな可能性 冷凍・解凍をへて人工受精した卵子で出産

  • 2007年07月03日 13:39 発信地:リヨン/フランス
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米国カリフォルニア(California)州Encinoの生殖協会(Fertility Institute)で保存されている卵子(2005年11月7日撮影)。(c)AFP/Robyn Beck

【7月3日 AFP】実験室で培養して凍結し、さらに解凍後に受精させた卵子による初めての新生児がカナダで誕生した。モントリオール(Montreal)のマクギル大生殖センター(McGill Reproductive Center)の研究チームが2日、フランス南部リヨン(Lyon)で開催中の第23回欧州ヒト生殖学会議(European Society of Human Reproduction and EmbryologyEHSRE)で発表した。

 今回女児を出産したのは、多のう胞性卵巣症群(polycystic ovarian syndromePCOS)と診断された女性。今回の実験対象となった女性20人のうちの1人で、ほかに3人が同様の技術で妊娠したという。多のう胞性卵巣症はホルモン異常のために排卵が起こりにくくなる状態のことで、妊娠可能期の女性には約10%の頻度で見られる。

 これまでにも、不妊に至る可能性のあるガン治療中の女性たちから卵子を採取した例はある。その場合、卵巣をホルモン剤で刺激して採取した卵子をパートナーの男性の精子と体外受精させて凍結し、ガン治療後に解凍して母体に戻すという手順をとる。

 同研究チームは、このような従来の受精卵保存から大幅に進展したと指摘する。卵子は自然排卵しない卵巣から採取された上、凍結・解凍を経て受精しているからだ。

 「これまでは、排卵しない卵巣から採取して体外培養しさらに冷凍した人間の卵子が、解凍に耐えて受精に成功し、子宮に戻して妊娠が可能かどうか知られていなかった」と研究チームを率いるHananel Holzer氏は語る。「われわれは初めてこの技術が実行可能だと実証した。4人が妊娠に成功し、うち1人が出産に成功した。残り3人は妊娠中だ」

 実験は超音波検査でPCOSと診断された女性20人を対象に行った。ESHREでの発表によると、採取した296個の卵子のうち290個が未成熟卵子だった。これらの卵子を研究室で24-48時間培養した後、数か月間の凍結保存を経て解凍した。解凍処理に耐えた148個に顕微授精(intracytoplasmic sperm injectionICSI)が施された。そして64個の受精卵を、妊娠成功率を高めるため複数個ずつ子宮内に戻した。

 Holzer氏によると成功率は上昇しており、最近手がけた5件では3件が妊娠に至ったという。

 一方で同氏は、誤った希望を与えかねないとして次のことに注意を促した。研究は依然初期段階にあり、この技術で最も恩恵を受けるべきガン患者における効果は実証されていない。化学療法や放射線療法などのガン治療を受けている女性は卵巣を刺激して卵子を採取する時間がなく、卵子の採取や保存ができない可能性があるというのだ。

 こういった女性の生殖力を残す唯一の選択肢として、まだ実験段階ではあるものの、ガン治療を受ける前に卵巣組織を採取する方法がある。採取した組織は凍結保存し、治療後に体内に戻す。ただ、ガン細胞も同時に移植される可能性を懸念する専門家もいる。さらに、PCOSの女性にホルモンによる排卵誘発を行うと、卵巣への過度の刺激で死亡する危険もある。

 このように、自然に排卵しない卵巣から未成熟卵子を採取して妊娠をもたらす技術は、PCOSで不妊の女性にとって大きな前進といえる。

 これとは別に、イスラエルの研究チームがESHREで5歳の女児の卵巣組織から卵子の採取および凍結に成功したと報告した。小児ガンの治癒率は通常70-90%だが、成長して不妊になる危険性もある。

 エルサレム(Jerusalem)のハダサ大学病院(Hadassah University Hospital)の産科医Ariel Revel氏は、思春期前の5-10歳の女児の卵胞から針を使って慎重に卵子を取り出し、実験室で培養して、将来の利用に備え凍結保存することに成功したという。(c)AFP

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