【6月10日 AFP】北京にあるWen Kexinさんのベリーダンス教室「Wen Kexin Dancer Club」で踊る生徒たちは、体をくねらせ腰を細かく揺すりながら、まるでダンスを通して今までの中国人女性の恥じらいを脱ぎ捨てるかのように見える。

 十数人の生徒たちの腰巻きについたコインがジャラジャラと鳴り響くなか、「もっと大胆に!花のようにね!」とWenさんが声をかける。

 Wenさんは主にフィットネスの一環としてベリーダンスを広めながら、フラメンコやストリップダンスなど、海外のセクシーなダンスに興味を持つ女性層にビジネスチャンスを見出してきた。

 「ほとんどの中国人女性は、自分の体について模索することはあまりありません。でもベリーダンスによってセクシュアリティが解放され、自分の体についてより深く知ることができます」とWenさんは話す。

 売れないポップシンガーだったWenさんが、北京に最初のダンススタジオを開いたのは2004年。それ以来、急成長を遂げ、今や複数の都市に22のスタジオと1000人の生徒を抱える。

 レッスン代は1セッションにつき60元(約970円)。自分のセクシュアリティを表現したい、もしくは夜の営みを充実させたいという女性がやってくるのだという。いずれも、以前の中国では口にするのもはばかられたことだ。

■国の解放がセクシュアリティの解放へ

 広州(Guangzhou)の中山大学(Sun Yat-Sen University)で女性学を専攻するLu Ying教授は、「こうした習い事が人気を集めるのは、国が解放され始めている証拠」と指摘する。

 北京でポールダンスを教えるLuo Lanさん(39)の教室を訪れる女性も増えている。ポールダンスは言うまでもなく、主にストリップダンサーが得意とするダンスだ。

 以前はIT企業に勤めていたLuoさんは、1999年のフランス旅行中に訪れたナイトクラブで初めてポールダンスを見たという。2004年に北京に最初のスタジオを開いて以来、すでに他の2都市に教室を開き、さらにもう2か所での開校を検討している。

 こうしたスタジオが人気の理由として、Luoさんは、セクシュアリティに関心の高いつ女性たちが同じタイプの友人を見つけられる点を挙げる。

 生徒のLaura Liuさんは、ポールダンスは運動性の高いダンスであると同時に、「魅力的になるための方法」であることに興味をひかれたという。

 30代のLiuさんは、スタジオの天井と床に固定された真ちゅうのポールの周りをくるりと回りながら、「それに夫を喜ばせることができるでしょう」と付け加えた。(c)AFP/Dan Martin