【6月10日 AFP】18世紀の帆船を復元したイエーテボリ3(Goetheborg III)号が9日、2年間におよぶ中国への航海を終え、大勢の歓迎を受けながら南西部の母港イエーテボリ(Gothenburg)港に帰港した。

 港付近にはヨットやモーターボードなど数千隻の小型船が、桟橋には数万人の見物人が集まり、イエーテボリ3号を出迎えた。照りつける太陽のもと入港した同船は、21発の礼砲を打ち鳴らして出迎えに応えた。この様子はテレビで生中継された。

 イエーテボリ3号は18世紀にスウェーデン東インド会社(Swedish East India Company)が所有したイエーテボリ号の復元船で、初代イエーテボリ号と同じ航路でイエーテボリ-上海(Shanghai)間を2年間かけて往復した。

 接岸後、中国の伝統音楽が演奏される中をスウェーデンを公式訪問中の中国の胡錦涛(Hu Jintao)国家主席がカール16世グスタフ国王(Carl XVI Gustaf)夫妻とともに同船に乗り込んだ。

■初代船を再現、最新設備を加えた新イエーテボリ号

 初代イエーテボリ号は1745年、3度目の2年間の中国航海を終え、積荷を満載してイエーテボリ港に帰港途中、港から目と鼻の先の沖合いで港入り口の岩に衝突した。

 船は浅瀬にゆっくりと沈んでいったが、乗組員は救助された。9トンにも上る陶磁器は海底に没したが、1980年代後半になり有志のダイバーがその一部の回収に成功している。紅茶、絹および香辛料など積荷の3分の1は沈没直後に無事回収されて売られたため、航海そのものの採算は取れたという。

 イエーテボリ3号は262年前に初代イエーテボリ号が沈没した場所を通過する際、礼砲を1発打ち鳴らした。

 全長40メートル、全幅10メートルのイエーテボリ3号は、18世紀に用いられたとされる技法を使ってイエーテボリで建造されたが、初代をすべて忠実に再現したわけではない。新しいイエーテボリ号では乗員が牛と同じ空間を共有する必要もなく、シャワーやトイレも使用可能だ。また貯水タンク、火災警報機、さらにはスウェーデンの自動車大手ボルボ(Volvo)から寄贈された船舶用エンジン5基など現代的設備を備えている。

 イエーテボリ号は2005年10月にイエーテボリを出航した後、スペインのカディス(Cadiz)をはじめブラジル、南アフリカ、オーストラリア、インドネシアに寄航し、2006年7月に中国の広州(Guangzhou)、そして最終目的地上海(Shanghai)に到着した。

 帰路はシンガポールや香港などに寄航し、先週にはロンドンに到着した。ロンドンではタワーブリッジ(Tower Bridge)を跳ね上げ祝砲を撃ってその到着を歓迎した。(c)AFP