写真は問題の水彩画。左がオリジナルで、右2点は「検閲済み」のバナーがつけられたもの(撮影日不詳)。(c)AFP
【ニューヨーク 10日 AFP】1920年代にパリで活躍したダンサー・歌手のジョセフィン・ベイカー(Josephine Baker)の「養子」の1人、ニューヨークのレストラン経営者クロード・ベイカー(Jean-Claude Baker)氏が、自分のレストランの宣伝のためにジョセフィンの上半身裸のポストカードを送ろうとした。しかし、郵便局は「ポルノ的だ」として受け取りを拒否。最終的に配達することに合意したという。
■窓口係は「ポルノだ」と受付を拒否
事の始まりは、2006年にクロード氏が自分のレストランの宣伝のため、1万5000通のポストカードを送ろうとしたことだった。
クロード氏がポストカード用に選んだのが、パリのフォリー・ベルジェール(Folies-Bergeres)劇場で、羽のついた衣装をまとい、上半身裸でポーズをとるジョセフィンを描いたアンリ・フルニエ(Henry Fournier)による1926年作の水彩画だった。
クロード氏は、「とても可愛らしくすてきな水彩画だ」と思い、この絵を選んだという。しかし、ポストカードを印刷する前に、郵便局に確認したほうがいいと友人に勧められた。
郵便局に行くと、窓口係が「こんなのは絶対に配達できない。ポルノ広告じゃありませんか」と非難。客やほかの窓口係が集まってきて、「恥ずかしくてたまらなかった」とクロード氏。
■胸の部分を「検閲済み」のスタンプで隠して…
ところが、彼はくじけることなく、胸の部分に「検閲済み」のバナーを上から印刷し、それを再度、提出した。窓口係は、「まだ胸が少し見えている」とはがきの受け取りを再び拒否した。
そこで、ニューヨーク人権擁護連盟(New York Civil Liberties Union)に相談した上で、さらに大きな「検閲済み」のバナーを印刷したポストカードを投函を試みた。
同連盟との郵便公社が話し合った結果、窓口係が間違っていたことを認め、最終的には配達に合意した。
■レジスタンス活動家でもあったジョセフィン・ベイカーの遺志を継ぐ
クロード氏は来週にも、オリジナルの水彩画を印刷したポストカードを送り直すつもりだという。
「わたしのしたことは、自由という名の“大河の1滴”にすぎないかもしれない。でも、愛する母ジョセフィンのスピリットはきちんと受け継いだつもりです。彼女は自由を愛し、そして闘い続けたのだ」
アフリカ系米国人のジョセフィンは「黒いヴィーナス」と呼ばれ、そのエキゾチックな容姿で1920-30年代のパリで一世を風靡し、文化的シンボルとなった。1937年にはフランスの市民権を獲得。第二次世界大戦中はレジスタンス活動に従事した。また、人種の異なる12人を養子にし、「虹の家族」と呼んで養育に当たった。1975年に死去。
フランスで生まれたクロード氏は、パリのホテルで働いているときにジョセフィンと出会った。後に「13人目の養子」として、その保護を受けるようになった。
写真は問題の水彩画。左がオリジナルで、右2点は「検閲済み」のバナーがつけられたもの(撮影日不詳)。(c)AFP




