写真は4日、屋台でカターニア風ヌガー「トローネ」を売る男性。(c)AFP / Marcello PATERNOSTRO
【カターニア/イタリア 7日 AFP】南部シチリア(Sicily)島のカターニア(Catania)の街は6日、ウズラのロースト、タマネギのベーコン巻きなど食欲をそそる香りで満ちあふれた。同地方の聖人を称える「聖アガサ祭(Festa di Sant’Agata)」が始まり、通りはカターニア料理の屋台でいっぱいだ。
■カターニアは、屋台食文化の「聖地」
「これこそがシチリア人の食べ物よ」
アンナリサ・スパムピナート(Annalisa Spampinato)さんは誇らしげだ。
シチリアでオリーブ油を製造するフランチェスコ・パドバ(Francesco Padova)さんも、カターニアを「イタリア屋台食文化の最重要地」と位置付ける。
カターニアの伝説によると、地元の貴族の娘だったアガサは、神に身を捧げることを決意していたため、親が定めた結婚を拒否し、投獄されて死に至った。しかし、パドバさんいわく、「カターニアで餓死するなんて不可能だ」
この日は街を埋め尽くした群衆に、カターニア風クレープ、クリスペッレ(crispelle)が配られた。クリスペッレはアンチョビを巻き込んだものと、リコッタチーズ入りのボール状の2種類がある。
■郷愁をそそる「クリスペッレ」
クリスペッレに郷愁を感じる人は多い。
「おじいさんも父親も子どもたちも、皆、クリスペッレを食べにカターニアにやってくるのよ」とアレッサンドラ・ステラ(Allesandra Stella)さんは語る。クリスペッレは、「80歳以上のイタリア人にとって、懐かしい子ども時代を思い出す食べ物」という。
クリスペッレに最適な飲み物として、アンナリサさんは地元のモレッティ(Moretti)ビールがお薦めだという。
イタリア食文化の歴史を研究するカルメロ・スパダロ・ディ・パサニテッロ(Carmelo Spadaro di Passanitello)さんも、クリスペッレの大ファンだ。パサニテッロさんによると、イタリアの屋台料理は必要にせまられて生まれたものが多いという。
「屋台料理は、揚げ物など家庭での調理が難しいものが多い。家庭でのオーブン調理が危険視されていた時代もあった」
パサニテッロさんは、ほかにもアンチョビ、リコッタチーズ、タマネギなど安価で美味な食材を用いている点も指摘する。
■地元素材を生かした料理があふれる
クリスペッレのほかにも、タコやムール貝など地元名産のシーフードや、ブタの耳や鼻の肉をゼラチンで固めた料理「ズズ(zuzu)」なども人気の屋台料理だ。
カターニアの調理人は高熱をものともしない。熱々の調理中の料理をそのまま味見したり素手でひっくり返してみせる。また、腕を伸ばして高所から塩をふりかけ、オリーブ油や赤ワインビネガー、オレガノ風味ビネグレットソースで味付けするなどの客前でのパフォーマンスも見事だ。
一方、アキッレ(Achille)さんが経営するトラットリア「Antico Corso da Achille」の外に並ぶ人々のお目当ては「馬肉サンドイッチ」だ。
ウマの肉を食べることに抵抗を感じる人々もいるが、ここカターニアでは、ビネグレットソース風味の馬肉を丸パンではさんだサンドイッチが人々の大好物なのは明らかだ。
サンドイッチとともに、各種シロップとシチリア産レモンを水やソーダ水で割った地元のドリンク「sgriccio」が若者に人気だという。
「聖アガサ祭」は一週間続く。
写真は4日、綿菓子を食べる子どもたち。(c)AFP / Marcello PATERNOSTRO