【香港 1日 AFP】北朝鮮の金正日(Kim Jong-Il)総書記の長男・金正男(Kim Jong-nam)氏(35)が、過去3年間にわたり、マカオ(Macau)市で贅沢三昧の生活していると、1日、地元紙が報じた。

■邸宅に住み、贅沢な生活…マカオは第二の故郷?

 香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)紙によると、6週間におよぶ調査の結果、金正男氏とその家族がマカオのコロアン(Coloane)島に家を構え、生活をしていることが確認された。金氏が高級レストランで食事をしたり、カジノでギャンブルに興じる姿も、繰り返し目撃されているという。

 「金正男氏は10年近く海外を転々としているが、今や彼にとってマカオは第二の故郷といえるだろう」と、同紙は述べている。

 同紙はさらに、香港にある北朝鮮の領事館は、金正男氏がマカオに定住していることを知らされていないと報じている。

 欧米の外交筋は、「金正日総書記の息子が拠点として利用していることから、マカオ市は困難な立場に立たされている」と語ったという。

■北朝鮮をめぐる国際関係は緊張が続く

 金正男氏はドミニカやポルトガルの旅券で海外に渡航し、マカオから40キロほど東の香港へも定期的に訪れているという。だが2006年10月、北朝鮮政府が核実験を実施し国際社会から強い非難を受けたことから、前回、同氏が香港を訪れた際には、入境を拒否された。

 現在、米国の金融制裁でマカオの金融機関「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」にある北朝鮮関連口座が凍結されていることから、北朝鮮政府は深刻な影響を受けている。だが、金正男氏はこうした影響とは無縁の生活を送っているようだ。

 世界最貧国の1つとされる北朝鮮は、過去10年間近く、全国民2300万人の食料を国際社会の支援に頼っている。核兵器開発計画を進めていると見られており、2006年には初の核実験を実施している。同国の核開発をめぐる6か国協議は、2月8日から北京で再開される予定。

 写真は、日本の成田国際空港で偽造旅券で入国しようとした際に入国管理局に拘束された、金正男氏とみられる男性(2001年5月4日撮影)。(c)AFP/Toshifumi KITAMURA