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「カジノ・ロワイヤル」、仏リキュール産業復活を後押し - フランス

  • 2006年12月18日 18:48 発信地:フランス
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写真は、ボルドーでカクテルに最後の隠し味を加えるバーテンダーの女性AFP/JEAN-PIERRE MULLER

【ボルドー/フランス 18日 AFP】ワイン生産の中心地、仏南西部ボルドー(Bordeaux)では、ワイン醸造業者が世界市場で厳しい競走を強いられている一方、創業200年の老舗リキュール製造会社が、太西洋を隔てた英米市場を狙ったカクテル・ブームに乗じた好調なビジネスを展開している。

 大ヒット中のスパイ映画「007シリーズ」の『カジノ・ロワイヤル』で、主人公ジェームス・ボンドが注文しているのが食前酒「キナ・リレ(Kina Lillet)」を加えたマティーニ。

 今作は、これまでの同シリーズとは異なり、イアン・フレミング(Ian Fleming)による原作小説(1953年発表)からカクテル・レシピを引用している。フレミングは小説中、「キナ・リレ」を「007定番カクテルの隠し味」と呼んでいる。

 「キナ・リレ」の製造元であるリレ(Lillet)社は、従業員7人という小さな家族経営会社だが、米国市場を最有望視しており、007シリーズ今作でのカクテル・レシピ紹介は夢のような無料PRとなった。

 同社はボルドー近郊ポドンサック(Podensac)で1872年に創業、ワイン85%、オレンジ・リキュール15%の組成にキニーネで風味をつけた伝統的な食前酒「リレ」を生産してきた。今年は米国からの注文が殺到、主にカクテル用として2万ボトルを出荷し、売上げは例年の15%増だった。

■カクテルブームを後押し

 すでにカクテルブームによって米国での販売が増加していたところに007新作のヒットが後押しとなり、同社のBruno Borie社長は喜びを隠しきれない。

 「まさしくこれは、”ケーキの上のチェリー(幸運に重なる幸運の意)”。カクテルはエレガントで楽しく、シックでセクシーな飲み物、というメッセージが家庭にまで広まってもらえれば。ジェームス・ボンドは、我が社の歴史における宝です。1950年代、リレの最大の愛好家はウィンザー公爵夫人(The Duchess of Windsor、シンプソン夫人)でした。今は、エヴァー・グリーン(Eva Green、007新作のボンドガール)です。そうした恩恵を生かしたい」とBorie氏は語る。

 カクテル人気再燃に期待をかけているのは、リレ社だけではない。特に米国市場では2005年、カクテルのベースとなるリキュールの売上げ成長率が4%を記録。アルコール全体の販売成長率の約2倍だった。定番ものから最新流行のレシピまで、カクテルは今後も深く米国市場に浸透していくだろうと、リキュール・メーカーでは自信を見せる。

■カクテルは世界的に流行

 1755年に創業したやはりボルドー地方の酒造メーカー、マリー・ブリザール( Marie Brizard)社では米国での好調を受け、輸出売上高の倍増を5年以内に達成すると確信している。同社のJean-Paul Saubesty会長は、「カクテル大流行の再来は、英米で2,3年前から起こっていますが、現在ではそれが、全世界的な現象として広がった感があります」と語った。

 看護婦だった創業者マリー・ブリザールが、看病した船乗りから命を救った返礼に伝授されたという挿話が残る薬草アニスの蒸留酒「アニゼット(Anisette)」が、同社の主力製品。しかし、この「アニゼット」以外にも、さらに原料の範囲を広げた「魅惑的な」カクテル用リキュールの展開を始めている、とマーケティング・ディレクターのEdouard Griton氏は言う。

 こうした小規模生産者同様、大手企業の名前が並ぶコニャック業界にとってもカクテル・ブームの恩恵は大きく、今年は業界最多の年間販売数に迫る空前の1億5000万本を売上げた。うち三分の一は、カクテルの素材としての消費が多い米国での売上げだ。

 1920年にパリで作られたカクテル「サイドカー(コニャック、レモン、ホワイトキュラソー)」から、21世紀のカクテルともいえる「パルプ・フィクション(コニャック、アップル・ジュース、アップル・リキュール、レモネード)」まで、米国のバーテンダーたちはあらゆるシェイクにコニャックを加える。
 コニャック輸出市場は、4大ブランドのヘネシー(Hennessy)、レミー・マルタン(Remy Martin)、マーテル(Martell)、クルボアジェ(Courvoisier)で80%を占めており、2006年度コニャック輸出売上高の総計は、エアバスのジェット機25台分に相当した。

■伝統派も健在

 一方で、「コニャックをシャンパンやソーダと混ぜて飲むよう、業界が消費者を”転向”させている」と非難するフランス国立コニャック協会のJerome Durand会長など、カクテル・ブームを脅威とみなす「コニャック伝統派」もいる。

 同じコニャック地方で蒸留している人気ウオッカ、「グレイグース(Grey Goose)」はフランス産ながら、米国の企業家シドニー・フランク(Sidney Frank)氏が米市場向けに開発したプレミアム・ブランドだ。フランク氏は2004年、「グレイグース」の製造権を、大手ウオッカ製造バカルディ(Bacardi)社に売却したが、売却額は1銘柄としては史上最高の22億ドル(約2591億3800千万円)だった。

 写真は、ボルドーでカクテルに最後の隠し味を加えるバーテンダーの女性AFP/JEAN-PIERRE MULLER
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