
【パリ/フランス 28日 AFP】発展途上国に住む数百万人の子どもたちは、基礎教育と保健衛生、栄養改善プログラムを併せた就学前のケアが依然欠落している、とユネスコ(国連教育科学文化機関、UNESCO)が最新の報告書で指摘した。
■3人に1人しか幼稚園に通えず
26日に発表されたユネスコ年次報告書によると、そうした就学前指導は、幼児死亡率削減の大きな鍵となるとともに、子どもたちが成長後、自らの可能性を十分に発揮するためにも不可欠だという。
2004年のデータでは、保育所や幼稚園(3歳~6歳の児童用の施設)に通っているのは世界の幼児全体の約37%で、1975年の17%と比較すると大きく増加はしているが、国連の目標値にはほど遠い。
世界の半数以上の国で、3歳以下の乳幼児のためのケア・プログラムそのものがない。そうした国では、乳・幼児教育は家族や地域社会に委ねられているという。
しかし、発展途上国の多くでは、働く女性の増加や農村部からの移住、農村の都市化やエイズ(HIV/AIDS)の流行などの影響で、複合家族と核家族の間のきずなが薄れたことで、乳・幼児のケアがほとんど対処できていないのが現状だ。
■未来にとっても必要な幼児期プログラム
松浦晃一郎ユネスコ事務局長はメッセージの中で、
「最も弱く、不利な立場におかれた子どもたちのための、幼児期の健康管理や教育を拡大・改善していく政治的推進力が必要。また、乳幼児の時期からの保健教育は、教育政策および貧困削減政策にとって不可欠で、計画的に施されるべき要素だ」
と述べている。
同報告書ではこれを「教育という輪の中で、忘れられている輪」と表現している。幼児期のケアの存在が、就学後の中退率削減にもつながり、ひいては将来の労働力強化につながるとまとめている。
報告書の責任者であるNicholas Burnettディレクターは、「幼児期プログラムは、人生における強固な基盤を築き、将来的な見返りも高い」と語る。
■1050万人の子どもが5歳未満で死亡
総合的な幼児期教育の拡大・改善は、2000年にセネガルのダカール(Dakar)で開催された「世界教育フォーラム」で採択された「ダカール行動枠組み」で、初等義務教育や教育におけるジェンダー格差廃絶、成人の識字訓練などとともに掲げられた6つの目標のひとつである。
世界では年間約1050万人の児童が、予防可能な疾病が原因で5歳に至らずに亡くなっている。最も被害の大きい地域はサハラ以南アフリカ、南アジア、西アジア。その結果、児童施設に通う3歳~6歳児が最も少ないのはサハラ以南アフリカで、児童全体の12%、アラブ諸国では16%となっている。
一方、中位にあるのは南および西アジアや太平洋地域で32%、東アジアや太平洋地域では35%。発展途上国で最も就学前児童ケアが発達しているのは南米で、約62%がそうしたケアを受けており、幼児期教育の結果、栄養失調や発育不良の低減につながっているという。
欧州や北米では、働く女性の大量増加や母子・父子家庭増加の影響で、就学前ケアは全体的に普及している。
各国政府が幼児期プログラムに割り当てている額は、教育関連歳出のうち平均10%以下。ユネスコでは最貧地域や過疎地域の国を中心に、幼児期プログラムへの財源の投入拡大を呼びかけている。
写真は、ケニアのナイロビ(Nairobi)の小学校の風景(4月4日撮影)。(c)AFP/TONY KARUMBA
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