写真は、ホワイトハウスをバックに記念撮影する新婚カップル。(c)AFP/Paul J. RICHARDS
【ワシントンD.C./米国 16日 AFP】結婚した夫婦からなる「伝統的な家族形態」が、「最も好ましい家族の形態」の地位から初めて脱落した。国勢調査局(Census Bureau)が行った2005年の「米国コミュニティ調査(American Community Survey)」で明らかになった。
今年8月に発表された膨大な調査結果は、国民生活のあらゆる側面における「大きな転換」の兆しを示している。なかでも注目すべきは、全家族世帯の50.2%にあたる約5580万世帯が結婚の形態をとっていない点である。このうち、世帯主が非婚女性の世帯は1400万世帯以上、世帯主が非婚男性の世帯は500万世帯となっており、残り3670万世帯が「非婚世帯」(同性愛者または異性愛者の、婚姻の形態をとっていない同棲)に分類されている。さらに、「家族世帯」に分類されない未婚者の一人暮らし世帯が3000万世帯以上にのぼっている。
結婚した夫婦で構成される、いわゆる標準世帯は全体の49.8%にあたる5520万人強。地域別に見ると、グレートプレーンズ(Great Plains)や中西部・西部の農村部に多い。また、未婚の夫婦はニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコなどの大都市に集中している。
■ 実を結ばなかったブッシュ政権の「家族政策」
非婚世帯数が標準世帯数を逆転する現象は、過去5年間に始まった。6年前の調査では、標準世帯は全世帯の52%にあたる1億550万世帯で、かろうじて多数派を維持していた。
こうした現象は、税優遇措置や特別立法、教会主導のキャンペーンなどを通じて標準世帯の増加を目指したジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)政権の努力がほとんど実を結ばなかったことを意味する。また、非婚世帯数の増加は、共和・民主両党が推進している「家族の価値」回復政策の有効性に疑問を投げかける。
アメリカン・エンタープライズ公共政策問題研究所(American Enterprise Institute for Public Policy Research、AEI)のDouglas Besharov氏(社会学者)は、国務省の機関誌「US Society and Values」とのインタビューで次のように述べている。
「過去35年間で離婚率は50%にまで達し、婚外出生が増加している社会環境の中では、標準世帯の増加に歯止めがかかるのは致し方ない。社会変化は当然のこととして、問題はそれが破滅的なものになるのか、進化の1過程に過ぎないのかという点だ」
同氏は、「同棲」が今後ますます主流になっていくだろうと予想する。その影響として、親戚の減少による子供の一層の孤立化と個人主義の強化を挙げる。
■ 長寿化と女性の所得能力が影響か
Council on Contemporary FamiliesのStephanie Coontz所長は、長寿化と女性の所得能力拡大が通常の結婚形態に予期せぬ形で影響していると主張する。
第2次対戦以前、結婚という形態は、子供が独立しパートナーの片方が死亡した時点で終了していた。しかし現在のカップルは、子供が巣立った後も20年以上連れ添うことが可能だ。結婚という形態にとらわれない人が増えている要因として、Coontz所長は、「付き合う時間が長くなればなるほど、不幸の可能性をはらんだ結婚という形態を望まなくなる。そして、女性の経済的自立もこれを後押ししている」と語る。
写真は、ホワイトハウスをバックに記念撮影する新婚カップル。(c)AFP/Paul J. RICHARDS