【マドリード/スペイン 28日 AFP】近代的な美容整形手術の技法を確立した医師が28日、「最近は肉体の美しさに執着して知性や精神的な幸せをないがしろにする人が多い」と苦言を呈した。
■「精神や知性を大切にすることのほうがずっと大事」
マドリッド(Madrid)で開催された豊胸手術に関する会議で、ブラジル人のピタンギ(Ivo Pitanguy)医師(79)は、近年の肉体美礼賛主義は「行き過ぎている」として、「精神や知性を大切にすることのほうがずっと大事だ」と話した。
スペインの通信社Europa Pressが報じたところによると、ピタンギ医師は「美容整形そのものが悪いのではなく、若さと美しさを強調する広告手法に問題がある」と語り、美容整形手術は「患者自身の不安を取り除くために行われるべきものだ。他人の目を意識して手術を受けるべきではない」との見解を示した。
また、整形手術を受ける男性の数が増えていることを指摘し、特に目の下のたるみを取る人が多いとも述べた。
■サーカス火災事故負傷者の治療が転機に
ピタンギ医師は、世界中の著名人らから美容整形の第一人者と目されている。米国、フランス、英国などで学んだ後、1953年に母国ブラジルで施術を開始した。
1961年、ブラジル・ニテロイ(Niteroi)で起きたサーカスの火事で、やけどをした多数の負傷者の治療にあたったことが、転機となった。この事故では、2500人の観客の上に炎上するテントが崩れ落ち、500人が死亡した。ピタンギ医師は経営する病院のウェブサイト上で、「この悲劇によって、われわれの専門である美容整形の意義が証明されたのです」と説明している。
■施術数6万人以上、400人以上の整形外科医を教育
これまでに施術した人数は6万人を超え、世界各地で活躍する400人以上の整形外科医を育ててきた。
有名人の執刀も行っている。ジーナ・ロロブリジーダ(Gina Lollabrigida)、メリナ・メルクーリ(Melina Mercouri) 、ザ・ザ・ガボール(Zsa Zsa Gabor)といった映画女優のほか、1976年のF1ドイツ・グランプリの事故で大やけどを負ったレーシング・ドライバーのニキ・ラウダ(Niki Lauda)の治療も担当した。
一方、ピタンギ医師自身は一切、美容整形手術を受けていない。「医者も、手術を受けるのは、怖いんだ」と語る。
スペインでは毎年およそ30万人が美容手術を受けており、欧州最大の「美容整形大国」となっている。
写真は取材に応じるピタンギ医師。(c)AFP/Antonio SCORZA




