【8月23日 AFP】中東で感染が拡大している中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory SyndromeMERS)コロナウイルスと、コウモリとの関連性を示す研究論文が21日、米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)の医学誌「新興感染症(Emerging Infectious Diseases)」(電子版)で発表された。

 研究チームによると、最初に感染が確認されたサウジアラビア男性の自宅近くに生息する食虫性コウモリから、男性が感染したものとDNAが100%一致するMERSウイルスが検出されたという。

 中東呼吸器症候群による死者は世界で47人上り、うち39人はサウジアラビアで確認されている。

 論文の共著者で、米コロンビア大学(Columbia University)感染免疫センター長のイアン・リプキン(Ian Lipkin)氏によると、これまでMERSウイルスに似たウイルスが動物から検出された事例は数件あったが、DNAが完全に一致したことはなかった。

 研究チームは、2012年10月から2013年4月にかけて、サウジアラビアのMERS患者が確認された地域に生息する7種のコウモリから1000以上のサンプルを採取した。

 一連の分析の結果、最初の感染者の自宅から数キロメートル圏内に生息する1匹の「エジプシャントゥームバット(Egyptian Tomb Bat)」の排せつ物から、感染者から検出したものと全く同じ遺伝子配列を持つウイルスが見つかった。

 しかし論文の主著者、ジアド・メミシュ(Ziad Memish)・サウジアラビア副保健相は、「MERSウイルス感染者の大半については、コウモリに直接接触した証拠はない。人から人への感染力が弱いことから、まだ特定されていない媒介動物が、人への感染に重要な役割を果たしていると、われわれは推測している」と話している。(c)AFP