【8月15日 AFP】陣痛促進剤を使用した妊婦は、自閉症を持つ子供を産むリスクが高くなるかもしれないとの研究論文が今週、米国医師会(AMA)が発行する医学誌「JAMA小児科学(JAMA Pediatrics)」に発表された。

 今回の研究は、この問題に関するこの種の研究では最大規模のものだが、陣痛の誘発が発達障害の原因と断定するには至っていない。米国では子供の88人に1人が発達障害を発症している。

 今回の研究はむしろ、さらなる研究の必要性を指摘するものだと、論文の主執筆者で、ミシガン大学天然資源環境大学院(University of Michigan School of Natural Resources and Environment)院長のマリー・リン・ミランダ(Marie Lynn Miranda)氏は言う。

 同氏は「科学界は、米国の自閉症率の増加に対する環境的な寄与因子を長い間探してきた」と声明で述べている。「今回の研究は、特に男児における、自閉症と陣痛誘発・強化との関連性に関する予備的な証拠を提供する」

 研究では、米ノースカロライナ(North Carolina)州の8年間にわたる出生記録62万5000件を調査した。調査の結果、陣痛の誘発・強化の両方を行った場合は、陣痛を人為的に発生させない場合に比べて、男児で自閉症を発症するリスクが35%高くなることに関連していることがわかった。

 女児では、陣痛を誘発させたが強化は行わなかった場合に自閉症リスクの微増がみられた。

 妊婦が薬剤で陣痛を誘発させる理由はさまざまで、出産予定日が過ぎた場合や、感染症、高血圧、糖尿病などの症状がみられる場合などが挙げられる。

 陣痛の誘発に関連するリスクの増加は、高齢出産や妊娠34週前での出産など、自閉症の他の既知のリスク因子にみられるリスク増と類似していると研究者らは指摘する。

 自閉症支援団体「Autism Speaks」の公衆衛生研究部門の副部長、マイケル・ロザノフ(Michael Rosanoff)氏は「次の段階は、研究によって、この関連性の裏側にあると考えられるメカニズムをさらに理解することだ」と述べている。

 「今回の研究は、陣痛の誘発または強化と自閉症との間の因果関係を実証するものではないこと、また、このどちらもが出産時の合併症を防ぐことがわかっていること、この2点を留意することが重要だ」と同氏は付け加えた。(c)AFP