【8月7日 AFP】中国で、鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)のヒトからヒトへの感染とみられる事例が初めて確認されたと、江蘇(Jiangsu)省の疾病予防当局のチームが7日、英医師会雑誌(BMJ)のウェブサイトに発表した。中国では3月からH7N9型ウイルス感染が広がり、これまでに40人以上が死亡している。

 江蘇省は中でも感染者数が多い。江蘇省疾病予防管理センターの鮑昌俊(Bao Chang-jun)氏は、「憂慮すべき展開」で厳重に監視する必要があると指摘しつつも、現時点ではH7N9型ウイルスにヒト間で感染が拡大するほどの強い感染力はないとの見方を強調。「パニックになるべきではない」と述べている。

 研究者らはかねてより、H7N9型ウイルスが変異してヒトからヒトへの感染が起きる可能性を懸念していた。

 鮑氏らの報告によると、ヒト間感染の例とされるのはH7N9型感染が確認された後病院で死亡した男性(60)と娘(32)。父親から娘に感染したとみられるという。

 娘は約1週間にわたって父親の看病をしていたが、H7N9型に感染した疑いのある鳥類とは接触していなかった。このため研究チームは、家禽市場に出入りしていた父親から感染したとみるのが「最も可能性の高い説明だ」と結論付けた。

 遺伝子検査で、父と娘から採取したウイルスが「ほぼ同一」であることも確認された。

 ただ、研究チームは直接感染の可能性を示す証拠が得られたとしながらも、ウイルスの感染力は「限定的で持続可能ではない」としている。この父娘と密接な接触があった病院の職員など43人は、いずれも感染していない。(c)AFP/Mariette LE ROUX