【7月7日 AFP】フィリピン中部のイロイロ(Iloilo)州で、蚊が媒介する感染症のデング熱が猛威を振るっており、これまでに1800人余りが感染、少なくとも10人が死亡した。同州当局者が6日、AFPに語った。

 州当局者によると、今年の感染者数は既に昨年同期を71%上回った。また、今年上半期の死者数は、既に昨年1年間の死者数と並んでいる。

 デング熱の流行が蚊の少ない6月の雨期入り前に始まったため、今後の感染状況に警戒が高まっている。蚊の習性が変化したことや、住民の不適切な貯水方法もデング熱流行の原因ではないかという見方もある。

 デング熱を媒介する蚊は水たまりに発生し、ヒトの血を吸うのは昼間とされている。ただ当局者によると、最近の蚊は昼だけでなく夜も血を吸う。さらに人口160万人の同州では水道の整備が進んでいないため多くの人が依然として自宅に水をためており、蚊が発生しやすい条件を作り出している。

 感染が深刻な地域には州の保健当局が職員を派遣し、蚊が発生する恐れがある貯水容器を見つけ出して住民に貯水容器にふたをするよう勧告している。感染者には公立病院で無料治療が提供されている。

 フィリピンでデング熱は繰り返し発生している。患者数は全国では若干減少している一方、イロイロ州など特定の地域で局地的に急増している。(c)AFP