【6月3日 AFP】酢を使った簡単なテストで、インド人女性の子宮頸がん死亡率が3分の1近く減り、また世界では年間7万3000人の死亡を防止できるとする大規模な研究が2日、発表された。

 富裕国では、パップテスト(子宮頸部細胞診)と呼ばれる検査を定期的に行うことが普及しており、子宮頸がんを早期に治療可能な段階で発見することで、死亡率を80%減らすことに成功している。しかし財政、医師や看護師、実験施設が不足するインドなどの発展途上国の女性たちの間では、子宮頸がんは依然としてがんによる死亡の主な原因となっている。

 酢を使った安価なテストは、パップテストに匹敵する精度を持ち、この問題に解決の道を示している。

■安価かつ迅速、死亡率3割減

 綿棒で子宮頸部に酢を塗ると、前がん期の腫瘍は白くなる。明るい照明を使い子宮頸部を視診すると、1分後には結果がわかる。この方法は費用を抑えるだけでなく、診察を受けるために何時間も移動しなければならない地方部に住む女性たちとって、即時に結果が出るために非常に有効だ。

 ムンバイ(Mumbai)で15年にわたり行われた、スラム街に住む女性15万人を無作為に抽出した研究により、酢の検査による子宮頸がんの早期発見・治療で、死亡率を31%減らせることが判明した。

 また、酢を使った検査では、過剰診断という一般的な問題を避けられるとも分かった。子宮頸がんの発生率は、1年おきに検査を受けていた女性と、危険な兆候を見分ける方法を教えられた女性との間では、基本的に違いがなかった。

 同研究の主任、ムンバイのタタ記念病院(Tata Memorial Hospital)がん予防科のスレンドラ・スリニバス・シャストリ(Surendra Srinivas Shastri)教授は、「この成果が、インドと世界の子宮頸がんの重圧を減らすうえで重要な効果をもたらすことを期待する」と語った。(c)AFP/Mira Oberman