【5月29日 AFP】中国でヒトへの感染が拡大している鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染者を対象とした臨床検査で、現時点での唯一の治療法に対して耐性を示すウイルスを確認したとする中国のウイルス学者チームの報告書が、英医学専門誌「ランセット(Lancet)」で28日に発表された。臨床検査により薬剤耐性を持つH7N9型ウイルスが確認されたのは、これが初めて。

 報告書によると、中国・上海(Shanghai)の医療機関で経過観察を受けていた14人の患者のうち3人から、遺伝子の突然変異により薬剤耐性を持つようになったH7N9型が検出された。

 この3人の患者のうち1人は、広く用いられている抗ウイルス薬タミフル(Tamiflu)の投与後に初めて薬剤耐性を示したとされ、チームは「タミフルによる治療が原因だろう」と述べている。

 今のところH7N9型の治療に有効であることが分かっているのは、タミフルやペラミビル(peramivir)といった、抗ウイルス薬の一種であるノイラミニダーゼ阻害薬だけ。今回の発見により、今のところ唯一の有効な治療薬への耐性が、治療によって引き起こされてしまうのではという懸念が高まっている。

 同研究チームは、「A/H7N9型で、薬剤耐性が容易に発生しているようにみえることは、懸念材料である」としながらも、当面のところ、早期治療が最善の対応策であることに変わりはないと強調している。(c)AFP/Mariette LE ROUX