【5月23日 AFP】中国で感染が拡大している鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)がヒトからヒトに感染しやすいウイルスへ変異する可能性が懸念される中、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)の 福田敬二(Keiji Fukuda)事務局長補は21日、世界は新型ウィルスの大流行に対する準備ができていないと指摘した。

 スイス・ジュネーブ(Geneva)で開幕した第66回世界保健機関年次総会(World Health Assembly)で福田事務局長補は、2009~10年に今回とは別の鳥インフルエンザウイルス(H1N1型)が流行して以来、緊急時の対応策について検討されてきたが、いっそう広範な対策が不可欠だと述べ「努力は続けられてきたが、世界は大規模で深刻な感染拡大に対する準備ができていない」と述べた。

 また「新興感染症の場合、かかった人たちが本で対処法を調べることはできない」と述べ、こうした感染症に関する知識が不足していることから保健当局の努力が妨げられているとし、緊急対応システムの構築が極めて重要だと強調した。

 最新の公式データによると、今年3月に初めてH7N9型のヒトへの感染が中国で確認されて以来、同国で報告された感染者は130人、死者は35人に上っている。

 中国は養鶏業の主要国の一つであり、地方部では鶏が人間と接触しやすい環境で飼育されているケースが多いことから、鳥インフルエンザのリスクが高い国の一つとされている。

 インフルエンザウイルスは、その表面にあるタンパク質「ヘマグルチニン」(HA)と「ノイラミニダーゼ」(NA)の種類によって型が決まる。HAには17種類、NAには10種類があることから、インフルエンザの種類は非常に膨大な数になる。

 WHOの統計によると、これまでにより多くの感染者を出しているH5N1型では2003年以来、全世界で360人以上が死亡している。(c)AFP/Jonathan FOWLER