【5月1日 AFP】米国外で生まれた子どもは米国生まれの子どもに比べて、ぜんそくやアレルギー肌、食物アレルギーといった症状が生じるリスクが低いが、米国に10年ほど住むことでアレルギー疾患のリスクが高まる可能性を示す研究結果が、29日の米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)に掲載された。

 この研究は、一定の環境暴露を受けると後年、子ども時代の微生物暴露による保護作用を越えてアレルギーを引き起こす可能性を示唆している。

 米国では近年、食品アレルギーや肌のアレルギー反応が増加しているが、研究では2007~08年に電話調査を行った全米約9万2000人の記録を検証した。報告された症状にはぜんそくや湿疹、花粉症、食品アレルギーなどがあった。

 米ニューヨーク(New York)にあるセント・ルークス・ルーズベルト・ホスピタル・センター(St. Luke's-Roosevelt Hospital Center)のジョナサン・シルバーバーグ(Jonathan Silverberg)氏率いる研究チームは「いかなるアレルギー疾患についても、米国内で生まれた子どものアレルギー疾患率(34.5%)に比べ、米国外で生まれた子どもの疾患率は著しく低かった(20.3%)」としている。「ただし、国外で生まれた米国人でも、米国での在住期間が長くなるほどアレルギー疾患リスクが増加していた」という。

 米国外で生まれたが、その後米国へ移って在住歴10年以上の子どもでは、米国に住み始めた年齢に関係なく、湿疹や花粉症を発症する可能性が「著しく」高く、同じ外国生まれでも米国在住歴が2年以内の子どもと比べると、湿疹では約5倍、花粉症では6倍以上の発症率だった。

 同研究は「アトピー性疾患の疫学研究において、米国での在住期間はこれまで要因として認識されていなかった。外国生まれの米国人でも後年、アレルギー疾患を発症するリスクが高まりうる」と結論付けている。(c)AFP/Kerry Sheridan