【4月1日 AFP】スイス製薬大手ノバルティス(Novartis)が開発した同社の抗がん剤「グリベック(Glivec)」の改良版について、従来の薬剤と比べて著しい改善がもたらされているとして、特許の認定を求めていた裁判で、インドの最高裁は1日、原告の訴えを棄却し、特許を認めないとの判断を下した。活動家らは、発展途上国向けの低価格なジェネリック医薬品の調達が保護されたとして判決を支持している。

 グリベックはノバルティスのブロックバスター(訳注:主に年間売り上げ10億ドル以上の薬)で、特許裁判は7年間に及んだ。「世界の薬局」と呼ばれるインドの特許庁がグリベックの改良版に特許を認めなかったため、ノバルティスは体内への吸収が容易になったことを挙げ、グリベックの改良版には著しい改善点があるとして、特許の認可を求めていた。

 だが、インドの最高裁は、この医薬品がインドの法律の求める「新規性や発明性の評価を満たさなかった」とし、訴えを退けた。

 インドの法律は、医薬品にわずかな改良を加えるだけで新たな特許を取得する「エバーグリーニング」と呼ばれる医療業界の手法を禁止しており、今回の判決により、医薬品メーカー各社は今後もグリベックのジェネリック医薬品製造を続けることができる。

 今回の裁判は、多国籍製薬会社の特許がどこまで保護されるのかを判断する上で大きな影響力があるとして、高い注目を集めていた。(c)AFP/Penny MacRae