【3月19日 AFP】米国では、子宮頸がんの主な原因とされるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を予防するワクチン接種を10代の少女も受けることが望ましいとする医師の推奨に反対する親が増えているという。

 18日の米小児科専門誌「ペディアトリクス(Pediatrics)」に掲載された調査によると、HPVワクチンを娘に受けさせたくないと答えた親は2008年は40%だったが、10年は44%に増加した。親たちは子どもがまだ若過ぎる、性行動がまだ活発でないといった考えや、安全性や副作用に関する懸念、HPVワクチンに関する知識の欠如を理由に挙げた。

 米国のメイヨー・クリニック(Mayo Clinic)の小児科医で上級研究員のロバート・ジェイコブソン(Robert Jacobson)氏はこの数字の推移について「向かうべき方向と逆だ」と述べ、研究によりHPVワクチンの安全性と有効性は常に証明されていると指摘した。

 同氏は「子宮頸がんの原因は基本的に100%がHPVで、アメリカ人の50%が少なくとも1度はHPVに感染する」とし「感染しても自覚症状はない。いつ感染の恐れがあるとか、感染したことが、自分では分からない」と語った。

 ただし、HPVワクチンの接種を受ける少女は増えている。HPVワクチン接種者のうち、10代の少女は08年には全体の16%だったが、10年には3分の1に上った。

 米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)は、11歳と12歳の男女にHPVワクチン接種を推奨している。また、27歳未満の女性、22歳未満の男性もこれまでに接種していない場合は、ワクチンを受けることが望ましいとしている。さらに、同性と性的関係を持つ男性にも接種を薦めている。

 HPVワクチン接種は通常、半年の間に3回行われる。CDCはウェブサイトでHPVワクチンについて「安全かつ有効で、世界中で臨床試験済み」だと説明。「これらの研究で深刻な副作用はみられなかった。よくみられる軽い副作用としては、注射した箇所の痛みや発熱、頭痛、吐き気などがある」と述べている。

 子宮頸がんのほか、陰部疣贅(ウイルスによるイボ)、陰茎がん、肛門がん、咽頭がんがHPVと関連している。

 調査の中の数字は、08年から10年に行われた米国でのワクチン接種に関する調査(13~17歳が対象)のデータを基にしている。(c)AFP