【3月15日 AFP】SARSSevere Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群)ウイルスに似た新型コロナウイルスにより、これまでに感染が確認された15人中9人が死亡している問題で、このウイルスが肺細胞の受容体に結合し、人体に侵入することを突き止めたとする研究報告書が13日、英科学誌ネイチャー(Nature)で発表された。

 新型コロナウイルスは、ウイルスを発見したオランダのエラスムス医学センター(Erasmus Medical CentreEMC)にちなみ、「hCoV-EMC」と呼ばれている。

 このウイルスは、アジア地域で10年前に猛威を振るったSARSウイルスの「いとこ」にあたるという。しかし致死性は「hCoV-EMC」のほうがさらに高いとみられ、これまでに中東と英国で治療を受けた15人のうち9人が死亡している。腎臓を中心に多臓器不全が起こることが特徴とされる。

 EMCのウイルス学者チームは報告書の中で、このウイルスが気道内の平滑筋細胞上で「DPP4」と呼ばれる受容体にとりつくと述べている。アブラコウモリの仲間がこれと同じ受容体を持っていることから、自然界でのウイルス源がコウモリである可能性もあるが、ヒトがコウモリにウイルスを媒介していることも理論上はあり得るという。また他の動物が、ヒトとコウモリの間の媒介となっている可能性もあるとされている。

 今回の究明によって、「hCoV-EMC」に対するワクチンや治療薬の開発に道が開けたとチームは述べている。(c)AFP