【3月13日 AFP】米アップル(Apple)のスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」とカメラレンズを使って、タンザニア農村部の子供たちの腸内寄生虫感染を診断することに成功したとの報告書が、米医学誌「アメリカ熱帯医学衛生学誌(American Journal of Tropical Medicine and Hygiene)」で12日、発表された。寄生虫感染患者の治療を容易にする画期的な診断法となる可能性がある。

 報告書によると、iPhoneと両面テープ、懐中電灯、標準的な顕微鏡用スライド、8ドル(約770円)のカメラレンズさえあれば、低価格な顕微鏡を作ることが可能だという。研究チームはこの即席顕微鏡を使い、鉤虫(こうちゅう)などに感染した子供たちの便から寄生虫の卵を発見することに成功した。

 報告書を主執筆したトロント総合病院(Toronto General Hospital)の感染症専門医、Isaac Bogoch氏によると、携帯電話の技術を使った寄生虫感染の診断は史上初だという。

 腸内寄生虫の感染者は世界で20億人いる。主な感染者は子供で、時として栄養失調の原因ともなる。診断に必要な従来型の顕微鏡は200ドル(約1万9000円)と高価なことが、診断を難しくしている要因の一つとなっている。

 研究チームはiPhoneから作った顕微鏡を使い、腸内寄生虫に感染した農村部の子供たちから集めた200個の便サンプルの検査を実施し、従来型の顕微鏡を使った検査の結果と比較。その結果、iPhone顕微鏡は70%の確率で寄生虫の卵を検出することに成功したという。

 研究チームは、医療従事者のほとんどが携帯電話を持っていることから、iPhoneを使った顕微鏡にかかる費用は従来型の顕微鏡と比べ、ごくわずかに抑えられると指摘している。(c)AFP