【3月4日 AFP】米医療チームが3日、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染を持って生まれた乳児の治癒に初めて成功したと米ジョージア(Georgia)州アトランタ(Atlanta)で開催された第20回レトロウイルスと日和見感染症会議(Conference on Retroviruses and Opportunistic InfectionsCROI)で発表した。

 HIV感染新生児の治癒に成功したのは米ジョンズ・ホプキンス小児センター(Johns Hopkins Children's Center)のチーム。新生児への抗レトロウイルス薬投与を生後30時間以内から開始したという。新生児のウイルス数は徐々に減り、生後29日で検出されなくなった。1歳6か月まで抗レトロウイルス薬を使った治療を継続した後、投与を中止。その10か月後に複数の血液検査を行ったところ、いずれの検査でも陽性の結果は出なかった。

 通常、新生児への抗レトロウイルス薬投与は、生後6週間から実施可能な血液検査でHIV陽性の結果が出るまでは少量にとどめる。

 これによりHIVを持って生まれた乳児たちへの治療向上が期待されるが、チームは「完治」ではなく、あくまでも「機能的な治癒」としている。ウイルスが完全に撲滅できたわけではないからだが、この治療法でウイルスレベルは通常の薬剤治療を行う必要がない程度まで下がるという。

 ジョンズ・ホプキンス小児センターのデボラ・パサード(Deborah Persaud)氏は、新生児に早い段階で抗ウイルス療法を行うことで、体内からウイルスが除去され、潜伏しているウイルスの活動を防ぐことができると説明した。(c)AFP/Jean-Louis Santini