【2月11日 AFP】遺伝子組み換えウイルス製剤で、末期と診断された肝臓がん患者の腫瘍の増殖を抑制して余命を延長する効果が認められたという研究論文が10日、英医学誌「ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)」(電子版)に掲載された。

 研究チームは末期の肝臓がん患者30人を対象に行った4週間の治験で、組み換え腫瘍溶解性ウイルス製剤「JX-594」(Pexa-Vec)を16人には高容量で、14人には低容量で投与した。その結果、高容量を投与したグループは平均14.1か月、低用量を投与したグループは平均6.7か月生存した。

 研究に参加した米カリフォルニア(California)州を拠点とするバイオ製剤会社Jennerexのデービッド・カーン(David Kirn)氏は、遺伝子操作ウイルスががん患者の生存に貢献できることが医学史において初めて示されたとAFPに語った。

 論文は今回の研究結果を確定させるには、より大規模な治験が必要だとしている。すでに約120人を対象に次段階の治験が始まっているという。

 カーン氏によると「Pexa-Vec」は、患者のがん細胞内で増殖してがん細胞を死滅させるうえ、患者自身の免疫システムががん細胞を攻撃するようにする効果を持つウイルス製剤。数十年前から天然痘などのワクチンに用いられてきたワクチニアウイルスの遺伝子を組み換えて開発されたものだという。

 治験では、患者は高容量、低容量のいずれの投与にも耐えられることが示されたものの、全ての患者でインフルエンザのような症状が1~2日程度みられた。このうち1人では重度の吐き気と嘔吐(おうと)がみられた。

「Pexa-Vec」は、肝臓がん以外のがん性腫瘍でも治験が行われている。(c)AFP