【12月7日 AFP】ビールの苦味成分をたくさん摂取すれば、呼吸器疾患の原因ウイルスへの感染を予防できる――? サッポロビール(Sapporo Breweries)は5日、札幌医科大学(Sapporo Medical University)との共同研究で、ビールの主原料ホップに含まれる苦味成分「フムロン」に急性呼吸器感染症を引き起こすRSウイルスの増加を抑制する働きがあることを発見したと発表した。感染後の炎症の緩和効果もあるという。

 RSウイルスに感染すると肺炎や気管支炎を発症する。主に冬に感染が増え、大人では風邪のような症状となるが、乳幼児の場合は重症化することもある。

 研究に加わったサッポロビールの渕本潤(Jun Fuchimoto)氏によると、RSウイルスは乳幼児が感染すると重い肺炎や呼吸困難を引き起こすことがあるが、現時点では有効なワクチンはない。だが、少量の「フムロン」でRSウイルス感染を予防できるという。

 ただし、感染予防に必要な量の「フムロン」をビールから摂取するには、350ミリリットル入りの缶ビールを30本飲まなければならない。

 このため渕本氏らは、「フムロン」を食品やノンアルコール飲料から摂取できるよう研究を進めている。特に苦味成分である「フムロン」を子どもにも食べやすい味にすることが大きな課題だという。(c)AFP