【9月2日 AFP】薬を飲んだ母親から障害のある子供が生まれる薬害を引き起こした「サリドマイド」を製造するドイツの製薬会社グリュネンタール(Grunenthal)が31日、50年の沈黙を破り、謝罪した。被害者を擁護する団体からは、痛烈な批判が巻き起こっている。

 グリュネンタールのハラルト・シュトック(Harald Stock)社長は、同社が1950年から1960年代初期に妊婦のつわり止めなどとして販売したサリドマイドの薬害被害者に向け、沈黙を続けたことに対し「大変申し訳ない」と謝罪した。 

 母親がサリドマイドを服用し、手足の欠陥などの障害と共に生まれた子どもたちは推定1万人いるとみられる。サリドマイドは1961年に販売中止となるまで約50か国で販売された。

 同社のウェブサイトに掲載されたドイツ語による文面の翻訳では、シュトック氏はすべての被害者、その母親、家族に対して、同社の「心からの後悔」と「深い同情」を示したかったと述べている。

「私たちの長い沈黙を、みなさんの運命に対し私たちの受けたショックの印として、見てほしい」と彼はスピーチで述べた。

「また約50年の間、みなさん一人一人に接触する方法をみつけられなかったという事実について謝罪します。その代わりに、私たちは沈黙を続けてしまった。大変、申し訳ありませんでした」

 シュトック社長は、グリュネンタール本社があるドイツ西部の町、シュトルベルク(Stolberg)で行われたサリドマイド被害者記念碑の除幕式で、このスピーチを行った。(c)AFP