【8月23日 AFP】米国でかつて広く行われていた男児包皮切除術の実施率が低下したことで医療費が数十億ドル(数千億円)規模で増加する可能性があるという研究結果が発表された。

 米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)の研究チームが行った研究は、20日付の医学誌「Archives of Pediatrics and Adolescent Medicine」で発表された。研究チームの1人、アーロン・トビアン(Aaron Tobian)氏は、包皮切除を行わないと生涯で1人当たり医療費が313ドル(約2万5000円)増加することが分かったと言う。

 これは包皮切除を行わないと感染症やがんの発症リスクが上がるとの先行研究結果に基づいて算出された平均治療費で、包皮切除の施術費約291ドル(約2万3000円)を上回った。

 米疾病対策センター(US Centers for Disease Control and PreventionCDC)の統計では、米国で包皮切除術を受けた男性新生児は1970~80年代を通して全体のおよそ79%だったが、2010年には55%弱に減少した。

 研究によれば、1980年代と比べて25ポイント近く実施率が減少したことによって増えた医療費は約20億ドル(約1600億円)に上る可能性があるという。さらに、米国での実施率が欧州平均と同水準の10人に1人まで減ったと仮定した場合、10年間に生まれる新生児の生涯にわたる医療費の増加幅は44億ドル(約3500億円)になると研究チームは推定している。

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)はウェブサイト上で、異性愛者間でエイズウイルス(HIV)への感染が広まる国や地域における有効な感染予防法として男性の包皮切除を推奨している。(c)AFP/Naomi Seck