【6月20日 AFP】もしも人類が米国並みのペースで太り続ければ、将来の地球では今よりも10億人分、食料需要が増えることになると英国の研究チームが警告している。

 医学誌BMCパブリック・ヘルス(BMC Public Health)に18日に掲載された研究論文で、英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical MedicineLSHTM)の研究チームは、先進国の人々が太り続ければ、限りある地球の資源への大きな脅威となると警鐘を鳴らし、未開発・開発途上国での人口爆発を資源危機の原因とする考えは誤りだと指摘した。

 論文によれば、全ての国で肥満度指数(BMI)の分布が米国並みとなれば、人間のバイオマス(生物総量)は5800万トン増加する。平均的な体重の人数に換算すれば9億3500万人分だ。体重が増えれば、活動時も不活動時でも摂取する食物量は増える。

 また、肥満の人々の過剰体重分の代謝に必要な食物エネルギー総量は、標準体重の1億人が養える量になるという。
 
 論文の共著者イアン・ロバーツ(Ian Roberts)氏はAFPの取材に、「人々が地球の将来を心配するとき、地球の人口や増加の現状はどうなっているのだろうと考え、貧しい国の人たちが子どもを産みすぎるせいだと、早急に思いがちだ。だが、食料を必要とする人の頭数だけを数え、生命を維持する肉体の質量に目をやらないのは間違っている」と語った。「体の質量で考えれば、富裕国の太った人たちにも責任があることがわかるはずだ。これはアフリカにおける家族計画の問題だけではない」

 研究チームによれば、世界のなかで北米人口が占める割合は6%だが、世界の過剰な体重に占める割合は34%に上る。一方、世界人口の61%を占めるアジアは世界の13%だ。

 人間のバイオマス1トン分は、北米では成人12人分、アジアでは17人分に相当する計算になる。

 北米では人口の74%は太りすぎで、欧州の56%、アジアの24%、アフリカの29%と比較して極めて高い割合だ。

 さらに、富裕国の人々は必要以上に食べ物を消費することで、食物価格をつりあげていると、ロバーツ氏は指摘する。「豊かで太った人たちの国での過剰消費が、結局は貧しい国々を食料不足と貧しさに追いやっているのだ」 

(c)AFP