【5月6日 AFP】米国の医療制度改革を推進する民間団体コモンウェルス・ファンド(The Commonwealth Fund)は3日、13の先進工業国の医療制度を比較調査し、医療関連支出が最も少ないのは日本、そして最も多いのは米国とする報告書を発表した。報告書ではまた、米国ではその高い支出に見合う医療サービスが提供されていないことにも触れている。

 調査は経済協力開発機構(Organization for Economic Cooperation and DevelopmentOECD)などによるデータを基に、英国、オーストラリア、オランダ、カナダ、スイス、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、日本、ニュージーランド、ノルウェー、フランス、米国の医療サービスを比較した。

 調査の結果、米国では2009年、1人あたりの医療支出が8000ドル(約64万円)近くに達した。一方、最も少なかった日本では2008年、1人あたりの医療関連支出は2878ドル(約23万円)だった。国内総生産(GDP)に対する医療支出の割合は、2009年の米国では17%以上だったが、日本では9%にも満たなかった。

 報告書は、日本が出来高払い制を採用しつつも、専門医や病院、さらにはMRI(磁気共鳴画像装置)やCTスキャナー(コンピューター断層撮影装置)の利用も制限されていないことに触れ、医療サービスの利用制限によりコストを抑えるのではなく、政府が割り当てる予算内に医療支出が収まるよう医療費を設定しているとした。

 これとは対照的に、米国では高額な治療費と容易に利用できる医療技術、さらには肥満のまん延から医療支出が増えているという。

 報告書を執筆したコモンウェルス・ファンドの上級研究員、デービッド・スクワイヤーズ(David Squires)氏は、「米国人は他の国より多くの医療サービスを享受していると思われがちだが、実際のところ米国人は医者や病院にそれほど行かない」と話す。

「米国の医療支出が多い理由は、高い医療費と高額な技術の頻繁な利用にある可能性が高い。残念ながら、この高い医療支出に見合うサービスは提供されていない」

(c)AFP