【4月19日 AFP】幹細胞から培養した「毛包(もうほう)」という毛を作り出す器官を毛のないマウスに移植して発毛させることに、東京理科大学(Tokyo University of Science)の辻孝(Takashi Tsuji)教授率いる研究チームが成功し、18日の英オンライン科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(Nature Communications)に発表した。毛が抜けた後も、通常の周期で新しい毛が再生されたという。

 通常、細胞や器官に成長する幹細胞は胎児から採取する必要があったが、辻教授らは成体の幹細胞からでも毛包が成長することを確認した。

 研究の成果について研究チームは、毛髪再生医療のみならず、成人の体性幹細胞を用いた生物工学的移植による新たな治療法開発の可能性を示すものだと期待を見せている。既存の技術と組み合わせれば、脱毛治療が大きく前進するだけでなく、自分の細胞を培養・移植して頭髪を復活させるということも実現しそうだ。

 研究に加わった豊島公栄(Koh-ei Toyoshima)研究員は、3~5年のうちにも臨床実験を行い、10年後までの実用化を目指したいと話している。(c)AFP

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