【4月4日 AFP】安価で単純な構造のシリコン製リングを使うことで、新生児死亡の主要因であり、成人期の健康問題の原因ともなる早産のリスクを抑えることができるという試験結果が、3日付の英医学専門誌「ランセット(The Lancet)」に掲載された。

 試験はスペインの医師たちが実施した。子宮頸管の短い女性たちに妊娠の最後の3か月間、ペッサリーとして知られている器具を装着してもらう試験を行った。子宮頸管が短いと骨盤底が弱まり、早産を導くことがある。

 ペッサリーは膣につながる子宮の下部分「子宮頸部」を補強するように設計されており、妊娠最後の数週間で重くなる赤ちゃんを支えるのに役立つ。

 シリコン製のペッサリーは過去半世紀にわたって早産予防策の一環として使われてきたものの、その効果をめぐっては異論もあったが、ペッサリーの有効性を確かめる無作為化試験が行われたのは今回初めてだった。

 試験の結果、早産だった女性の割合は、ペッサリーを使用した女性のグループでは6%だったが、ペッサリーを使用しなかったグループでは27%に上った。また、ペッサリーを使用したグループでは妊娠34週以前に出産をした女性は12人だったが、ペッサリーを使用しなかったグループでは51人に上った。

 ペッサリーを使用したグループから副作用の報告はなかった。またこのグループの女性の95%が、他人にもこの処置を推奨すると回答した。

 使用したペッサリーの値段は38ユーロ(約4000円)で、安価にできる早産予防ということもできそうだ。バルセロナ(Barcelona)にあるバル・デ・ブロン病院(Vall d'Hebron University Hospital)の産科医で論文の主著者、マリア・ゴヤ(Maria Goya)医師は「ペッサリーの装着は安価にでき、挿入も簡単で、必要な時にはすぐ取り除ける」と支持している。

 PECEP試験と名付けられた試験は、対象とした5つの病院のいずれかで妊娠20~23週に超音波検査を実施した女性1万5000人から参加者を募った。そのうち子宮頸部の長さが25ミリ以下だった380人が実際に参加し、190人ずつの2グループに分けて試験を実施した。(c)AFP