【2月24日 AFP】強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1型)はめったに発生しないものの感染すると半数以上が死亡する病気と考えられているが、23日の米科学誌サイエンス(Science)に、H5N1型はもっとありふれた病気で致死率も低い可能性があるとする論文が掲載された。

 最近、ヒト間で感染するH5N1変異株の作成に成功したとの発表が、大量死をもたらしうるH5N1型への恐怖をさらに掻き立てているが、今回の研究はそんな心配を和らげてくれるかもしれない。

■WHOの手法は不十分

 米ニューヨーク(New York)のマウントサイナイ医科大学(Mount Sinai School of Medicine)の研究チームは、世界各地で計約1万3000人の血液検査を実施した過去の20件の研究を分析した。

 その結果、全体の1~2%にH5N1型に感染した形跡があった。感染者が全世界で数百万人にのぼっていた可能性を示唆する数字だが、世界保健機関(WHO)の統計によると、2003年以降のH5N1型感染者数は15か国の573人に過ぎないとされている。

 研究チームは、WHOは対象者を入院患者と重症者だけに絞っているため、感染者数を過小評価している可能性があると指摘するとともに、感染者の多くが医療を受けにくい地方の農村部に住んでいることなどから、死亡率はWHOが発表した58.6%より高い恐れもあるとしている。

 以上のことから研究チームは、感染者数を正しく把握するための新しい統一された手法を作り、対象を拡大してさらに詳しい調査を行うべきだと提案している。(c)AFP