【2月15日 AFP】妊娠中に化学療法を受けても赤ちゃんには害がないとする研究結果が、10日の英医学誌「ランセット・オンコロジー(Lancet Oncology)に発表された。

 ベルギーのルーベン・カトリック大学(Catholic University of Leuven)の研究チームは、妊娠中に化学療法を受けた68人から産まれてきた子供70人を対象に調査を行った。母親たちは平均で妊娠18週目にがんと診断され、全員で計236サイクルの抗がん剤投与を受けた。出産は平均で36週目だった。

 子供に対し、出生時と1歳6か月、そして5歳、8歳、9歳、11歳、14歳、18歳のいずれかに健康診断を行い、中枢神経系に損傷がないか、心臓や聴覚に異常はないか、認知力に問題がないかを調べた。

 その結果、子供の健康が化学療法により損なわれた形跡はなかった。未熟児で産まれてきた赤ちゃんでは認知力がやや劣る傾向がみられたが、こうした問題はどの未熟児にも見られるという。

 論文は、医師は妊婦に抗がん剤を処方することを恐れてはならず、赤ちゃんへの抗がん剤の影響を恐れて早産をさせるべきでもないと指摘する。

 論文によれば、化学療法は妊娠14週目から行うことができる。出産は、骨髄を回復させて母子の敗血症および出血リスクを最小限にするためにも、化学療法のサイクル終了後少なくとも3週間が経過してから行われるべきで、化学療法は自然分娩が始まりそうな35週目以降は行うべきではないと提言している。

 なお、論文は、今後は化学療法が長期的な問題を及ぼさないかを調べる必要があると述べている。(c)AFP