【1月12日 AFP】マイカーとテレビの双方を所有している人は、そうでない人よりも心臓発作を起こす確率が27%高いという研究結果が、11日の医学誌「ヨーロピアン・ハート・ジャーナル(European Heart Journal)」(オンライン版)に発表された。

 意外なことに、仕事や余暇での運動が心臓発作の発生率に及ぼす影響に焦点を当てた研究は少なく、データを全所得水準にわたって国際比較したものは特に少ない。

 世界52か国2万9000人を対象に1999年~2003年に行われた身体運動と心臓疾患の関連について研究した今回の国際調査では、最も効果的な心不全予防対策は、軽い汗をかくことだとの結果が示された。

 論文の主執筆者でスウェーデン・ウプサラ大学(Uppsala University)のクラース・ヘルド(Claes Held)教授は、「仕事中では軽度~中程度の運動、余暇ではあらゆる運動が、心臓発作リスク軽減に役立っていた。特に、過去の研究で示されていた余暇の運動の予防効果が、低・中所得国にも当てはまっていることが分かった」と述べている。

■余暇の運動は全て有効、過酷な肉体労働は効果なし

 調査では、仕事と余暇での身体運動を4段階のレベルに分け、仕事では「デスクワーク」と「過酷な肉体労働」を、余暇では「座りっぱなし」と「心臓がどきどきする程度のエアロビクス」を両端に置いた。

 運動は心臓の健康に良いという結果は予想通りだったが、その効果は運動をする状況や激しさによってばらつきが出た。余暇の場合は、全ての運動が心臓発作リスクの軽減にプラスに働くとの結果が示された。リスクは軽い運動では13%、中程度~激しい運動では24%下がった。

 仕事の場合も、軽い運動と中程度の運動では効果は同様だったが、過酷な肉体労働ではリスクはまったく下がっていなかった。

■座りがちは大敵

 研究チームはまた、自動車、バイク、ステレオセット、テレビ、パソコン、土地、家畜といった資産が、健康に影響しているかどうかについても調査。その結果、自家用車とテレビを所有している回答者(低・中所得国では全体の4分の1、高所得国では3分の2)は、そうでない回答者よりも、心筋梗塞のリスクが高かった。途上国では、これらの人たちは糖尿病と高血圧の率も比較的高かった。

 その理由は、同じ調査の別の数字が説明している。自家用車やテレビは誰もが欲しがる消費財だが、所有すると座りがちの生活になる。その傾向は、特に仕事の局面で強かった。座りがちになる度合いは、こうした消費財を持たない人々に比べ、中・貧困国では4倍、富裕国では2倍だった。テレビがあると「カウチポテト」な生活を送り、マイカーがあれば歩かなくなると解釈できる。

 ベルギー・アントワープ大学病院(Antwerp University Hospital)のEmiline Van Craenenbroeck氏とViviane Conraads氏は同じ号で、「健康に長生きすることを支援したいなら、『座りがち』の蔓延に歯止めをかける必要がある」と指摘している。「冠疾患で集中治療室へ入ることを避けるために、最も簡単で安上がり、かつ効果的な方法は、人生を通して常に身体的に活発であり続けることだ」

 余暇で運動をした際に脈拍を測定したところ、比較的所得の低い国では70%の人が脈が速くならず、これは富裕国の2倍に当たった。(c)AFP/Marlowe Hood

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