【1月13日 AFP】時折マリフアナ(大麻)を吸っても、喫煙のような長期的な肺へのダメージはなく、むしろやや改善する場合もあることが20年にわたる研究で示されたと、米研究チームが10日、米国医師会(American Medical Association)の医学誌「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)」に発表した。

 米国内ではマリフアナ吸引者が増加しているが、研究者らは5000人以上を対象に行ったこの長期研究によって吸引リスクをめぐる混乱が解消されれば良いと述べている。

 とはいえ、多用した場合のリスク評価は難しく、常用には注意が必要だとも指摘。研究に参加したステファン・カーテス(Stefan Kertesz)氏は「マリフアナは依然、違法薬物で人体機能に複雑な影響を及ぼす」と警告した。

 アラバマ大学(University of Alabama)医学部予防医学科と米バーミングハム(Birmingham)の退役軍人医療センター(Veterans Affairs Medical Center)の研究者らは、1985~2006年に米4都市に住んでいた18~30歳を対象にマリフアナ吸引について調査した。データは米国立心肺血液研究所(National Heart, Lung and Blood Institute、NHLBI)の出資で運営される研究機関CARDIA(Coronary Artery Risk Development in Young Adults)のものを使用。吸引量は、1日1巻き(ジョイント)ないしパイプ1本を1年間吸った量(365ジョイント)を「1ジョイント年」とする単位を使用した。

 研究の結果、平均で1日あたり1ジョイントを7年間(1週間に1ジョイントの場合は49年間)吸引し続けた人の肺に、悪影響は見られなかったという。

 肺機能に関しては、吐く息の強さと量を検査して分析した。喫煙者の一生涯における喫煙時間はマリフアナ吸引者よりもずっと長かったが、データを調整して比較した結果、喫煙者の肺機能の方が喫煙時間の増加に伴って悪化したのに対し、マリフアナ吸引者の肺機能はやや改善したという。もっともカーテス氏は、めざましい機能改善は認められず、ほとんどの人は気付かないだろうとも述べている。

 米政府統計によると、マリフアナは米国で最も多用される違法薬物。09年の調査では、12歳以上の米国民のうち約1670万人が調査前の1か月間に少なくとも1回はマリフアナを吸引したと回答している。(c)AFP