【12月23日 AFP】米国とカナダの警察官の4割が、任務に差し支える恐れのある睡眠障害を抱えているとの調査報告が20日、米国医師会(American Medical Association)の医学雑誌「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(JAMA)」に発表された。

 米マサチューセッツ(Massachusetts)州ボストン(Boston)のブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)のシャンタ・ラジャラトナム(Shantha Rajaratnam)氏らの研究チームは、約5000人の警察官を対象にインターネット上で睡眠に関する調査を実施。その結果、少なくとも1種類の睡眠障害の症状を抱える警察官が40%に上った。

 最も多かったのは閉塞型睡眠時無呼吸症で、不眠症、シフト勤務による不規則睡眠などが続いた。

 睡眠障害のある警察官は、良く眠れている警察官に比べ、うつや燃え尽き症候群に陥りやすく、居眠り運転も多かった。また、糖尿病や心臓疾患のリスクも高く、カフェイン飲料を多く摂取していた。

 一方、睡眠過多の警察官も29%近くおり、うち46%が運転中に眠気を催すと答えた。このうち、居眠り運転の頻度が月1~2回との答えた警察官は57%、1週間に1~2回との回答は14%だった。

 さらに睡眠障害を持つ警察官は、市民に対して切れやすいことも明らかになった。報告によると、こうした警察官は「疲労からミスや安全規則違反を犯しがちで、感情を制御できずに市民や容疑者に当たり散らす傾向が強い。市民の苦情をの元となる言動、欠勤、会議中の居眠りも多い」という。

 警察官における睡眠障害と任務に及ぼす影響を体系的に調べた研究はこれが初めてで、研究者らはどうやって睡眠障害を回避するかについての調査研究が必要だと訴えている。(c)AFP