【12月14日 AFP】イスラエルの医療研究者のチームが、がん性腫瘍を内側から「爆破」する方法を開発したと発表した。再発のリスクも抑えられる治療法だという。

 テルアビブ大(Tel Aviv University)のヨナ・ケイサリ(Yona Keisari)、イツァーク・ケルソン(Itzhak Kelson)両教授がまもなく臨床試験を開始しようとしているのは、アルファ線を放射するワイヤー状の小線源を皮下注射で腫瘍に挿入する治療法。

 体の外側からガンマ線を照射する従来の放射線治療とは異なり、アルファ粒子は腫瘍を「内側から破壊し、崩壊するまで拡散を続ける。クラスター爆弾のようなもので、1地点で爆発するのではなく、原子が連続して分散し、離れていきつつアルファ粒子を放出する」とケイサリ教授は説明する。

 同大によれば治療過程に要するのは10日ほどで、後に残るワイヤーは無害だという。治療では、がん細胞が効果的に破壊されるだけではなく、多くの場合、腫瘍の再発に対する体の免疫力も増すという。
 
 マウスを使った前臨床試験では、腫瘍を外科手術で除去するグループと、この小線源を使用して治療したグループに分けた。治療後、腫瘍から採取した細胞をマウスたちに再注入したところ、外科手術で治療したマウスでは100%、腫瘍が再発したが、小線源治療を受けたマウスの再発は50%にとどまった。また、肺がん、前立腺がん、腸がん、乳がん、脳腫瘍など様々な種類のがんで良好な結果が得られたとしている。(c)AFP