【12月14日 AFP】世界保健機関(WHO)は13日、年に1度発行している「世界マラリア報告(World Malaria Report)」の中で、2010年のマラリアによる死者は推定65万5000人であり、死亡率が前年比で5%、2000年比で26%、それぞれ減少したと発表した。

 死者の86%は5歳未満の子供だった。地域別ではアフリカが91%を占めた。

 また、同年のマラリア罹患者数は2億1600万人で、アフリカは81%を占めた。

 WHOは2010年を(マラリア対策が)大きな成果を挙げた年と表現しているが、「死亡率が2000年比で50%減」という当初の目標には遠く及ばなかった。

 WHOは、2015年末までにマラリアによる死者数をゼロにし、罹患者数も2000年比で75%減少させることを目標にしている。

■マラリア対策への拠出額も過去最高

 なお、国際社会がマラリア対策に拠出した額は、2010年に20億ドル(約1560億円)と過去最高に達した。ただしWHOは、目標達成には2015年までに毎年50億ドル(約3900億円)が必要になると見積もっている。

 マラリア対策の効果は、殺虫剤を練り込んだ蚊帳の普及率に見ることができる。サハラ以南のアフリカ諸国では、こうした蚊帳を持っている世帯の割合は2000年には3%に過ぎなかったが、今では50%に達している。

 WHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長は、マラリアとの戦いで大きく連続した前進が見られていることを歓迎する一方、東南アジアの一部地域でマラリアを媒介する蚊が殺虫剤への耐性を持ち始めていることに懸念を表明した。(c)AFP