【11月24日 AFP】缶詰のスープを5日連続で食べると、尿に含まれるビスフェノールA(BPA)の濃度が作りたてのスープを食べた場合の12倍になるとの研究結果が22日、米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)の11月23日号に掲載された。

 論文の主執筆者で米ハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)の大学院生ジェニー・カーウィル(Jenny Carwile)氏(疫学)は、「缶詰の食品を食べた人のBPA濃度を定量的に調べた初の研究の1つ」だと成果を強調している。

 研究では、75人を2グループに分け、一方には缶詰のスープを、他方には作りたてのスープを、5日連続で毎日12オンス(約360ミリリットル)ずつ食べてもらった。その後、2日の間隔を空けて、各グループは食べるスープの種類を交換した。それ以外はいつも通りの食生活をするよう指示した。

 尿に含まれるBPAの濃度を調べたところ、缶詰のスープを食べたグループのBPA濃度は、作りたてのスープを食べたグループの1221%だった。

 BPAは尿を通じて排出されるため、急激な濃度の上昇は一時的なものと考えるのが一般的だ。今回の研究では、どの程度の期間にわたって体内のBPA濃度が高くなったのかは調べなかったため、この点についてさらなる研究が必要だとカーウィル氏らは指摘している。

■BPAとは

 BPAは、缶容器内側の表面処理や、キャッシュレジスターのレシート、歯科充填材、一部のプラスチック、ポリカーボネートのボトルなどに使われている。米環境保護局(Environmental Protection AgencyEPA)によると、動物実験ではBPA濃度が体重1キロあたり50マイクログラム以上になると、生殖機能の発達に影響が出ることが示されている。

 カーウィル氏らの研究では、BPA濃度を体重1キロあたりではなく、尿1リットルあたりで測定していることから、EPA基準による危険性との直接比較はできない。しかし、カーウィル氏はAFPへの電子メール回答で、今回の研究よりも低濃度のBPAが人間の心臓病や糖尿病、肥満に関連があることが過去の研究で示されていると指摘した。(c)AFP/Kerry Sheridan