【11月10日 AFP】「オランダ死の権利協会(NVVE)」は9日、オランダで3月に重度のアルツハイマー病の女性(64)に安楽死が行われていたことを明らかにした。オランダで認知障害が進んだ患者に安楽死が行われたのは初めて。

 オランダは2002年4月、世界で初めて安楽死を合法化した。オランダで安楽死が認められるには、医師が治療不能と診断した病気で極度の苦痛を受けており、患者本人が完全な知的能力があるときに、安楽死を希望する意思を示していたことなどが条件になっている。

 NVVEの広報担当者は、この女性はアルツハイマー病が進行した状態が長期におよんでいたが、数年前から安楽死を希望する意志を示していたことを明らかにし、今回の事例は、患者が明確に安楽死を希望していてもアルツハイマー病が進行した患者の安楽死を拒否してきた医師たちへのメッセージになると述べた。

 オランダでは安楽死の事例は全て、安楽死が認められる条件を満たしていたか調べるため、医師や法律家、倫理専門家から構成される5つある委員会のうちの1つに報告される。今回の女性患者がこの手続きを終えているかは明らかになっていない。

 オランダでは過去に、安楽死を自殺ほう助とみなして関係者に禁固刑が言い渡された例もあった。(c)AFP