【11月1日 AFP】肺がん検診で胸部X線検査を受けた人の4年後の生存率は、一度も受けたことがない人の場合とほとんど変わらないとする調査結果が前月26日、アメリカ呼吸器専門医学会の年次総会で発表された。調査結果は米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)11月2日号に掲載される。

 米ミネソタ大(University of Minnesota)のマーチン・オケン(Martin Oken)博士の研究チームは昨年、肺がんの生存率はX線検査よりCTスキャンを受けた場合の方が高いとする研究結果を追跡調査した。

 研究の対象となったのは15万人で、約半数が女性。約10%が「喫煙者」で、残り90%は「かつての喫煙者」と「一度も吸ったことがない人」がほぼ半々だった。

 13年間にがんが発見された人は「胸部X線検査を受けたグループ」で1696人、「受けなかったグループ」で1620人と、前者の方が多かったが、その後4年以内に死亡した人は前者が1213人、後者が1230人と顕著な違いは見られなかった。

 上記の結果は、胸部X線検査を受けた方ががんを発見しやすいものの、生存率にかかわるほど早期に発見されるわけではないことを示唆している。

 昨年には、ヘビースモーカーとかつてのヘビースモーカーの肺がん死亡率は、X線検査の場合よりCTスキャンを受けた場合の方が20%低かったとする全米規模の調査結果が報告されている。

 胸部X線検査では肺を一方向からしか見ることができないが、CTスキャンでは7~15秒で胸部全体を多方向から見ることができる。(c)AFP