【10月18日 AFP】一部のビタミンサプリメントを摂りすぎると健康に害が及ぶ恐れがあるとする驚くべき研究結果が先ごろ発表され、サプリの使用への再考が迫られている。

 これまで、抗酸化サプリはがんや心臓病などの病気予防に効果的と考えられてきたが、新たな研究はこうしたサプリが有害である可能性を示している。

 非営利団体「公益科学センター(Center for Science in the Public InterestCSPI)」の栄養学者、デービッド・シャルト(David Schardt)氏は、「『サプリは無害。多ければ多いほど良い』と人々が信じている」ことが問題だと話す。

「一部のビタミンをそれだけで大量に摂取すると予想もしていなかったような悪影響が出るかもしれない。そのことが徐々に明らかになってきている」とシャルト氏。「米国ではたくさんの人々がビタミンをまるで宗教のように信仰している」と皮肉った。米国では2人に1人以上が何らかのビタミンサプリを摂取しており、この「サプリ教」は米国で年間200億ドル(約1兆5000億円)を稼ぎ出すサプリ産業によって奨励されていると言う。

 シャルト氏は、米国の企業にサプリの利点について「言いたいことを何でも言える」自由が与えられている点も問題視している。「食品医薬品局(Food and Drug AdministrationFDA)が唯一彼らに許可していないことは、病気に関して注意書きを付けることだ」

■本来は果物と野菜でOK

 米国立衛生研究所(US National Institutes of HealthNIH)のマルチビタミン・ミネラルサプリと慢性疾患に関する委員会の委員も務めたことがある米コーネル大(Cornell University)のパッツィ・ブラノン(Patsy Brannon)教授は、サプリを摂る人はたいてい食物から必要な栄養素を摂っているため、「サプリを摂ろうとする人はもともとその必要はないのかもしれない」と指摘した。「トータルの摂取量を考えていないことの方が心配だ」

 専門家らは、ビタミンが不足しがちな妊婦や高齢者ではマルチビタミンなどのサプリが有用という点では一致している。

 だが、それ以外の人については、果物、野菜、食物繊維、動物性たんぱく質をバランスよく摂るヘルシーな食生活で、適度なビタミンと必要な栄養素は十分補えるとブラノン教授は言う。

 今年8月、医学誌「Journal of Nutrition」に、必要な栄養素を摂らず、サプリも摂取していない米国人がかなりの数いるとする調査結果が発表された。それによると調査対象となった人のうちビタミンC不足は25%、ビタミンA不足は34%、ビタミンE不足は60%もいた。これら3つのビタミンは果物と野菜に豊富に含まれている。(c)AFP/Jean-Louis Santini

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