【8月31日 AFP】ダークチョコレートを食べ、面白おかしい映画を観賞する。ストレスの多い仕事は避ける。自転車に乗る時はペダルを精いっぱい漕ぐ。仏パリ(Paris)で開催中の欧州心臓病学会(European Society of Cardiology)で29日、こうしたことが心臓病や高血圧や動脈硬化の予防に効果的だとするいくつかの研究が発表された。

■エクササイズは激しく

 デンマークの心臓外科医Peter Schnohr氏の研究チームは、ペダルを漕いだ時間の長さではなく、ペダルを漕ぐ強度が心臓の健康に関連しているとする研究結果を報告した。

 自転車に乗る時にペダルを速く漕ぐ男性は、ゆっくり漕ぐ男性より平均余命が5.3年長かった。「平均的な速さ」の男性でもゆっくり漕ぐ男性に比べて平均余命が2.9年長かった。女性ではこれほどの開きはなかったが、それでもゆっくり漕ぐ人に比べ、速く漕ぐ人で2.9年、平均的な速さの人で2.2年、それぞれ平均余命が長かった。

 Schnohr氏は「毎日の余暇時間に行う身体活動の相当部分は、相当激しい運動をしていると自分で感じられる程度の運動強度で行う必要がある」と述べた。

■お笑いシーンで血流増加

 米メリーランド大学医学部(University of Maryland School of Medicine)のマイケル・ミラー(Michael Miller)教授は、「笑いに勝る良薬なし」ということわざが血流の面からも正しいことを立証した。教授は既に10年以上にわたる調査で、心臓病患者はよくある人生体験をユーモラスにとらえる割合が40%も低いとする結果を発表している。

 教授は実験参加者を募り、まずスティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)監督の『プライベート・ライアン(Saving Private Ryan)』(1998年)のような精神的にストレスのかかる映画を見てもらった。凄惨な戦闘シーンに差し掛かると、被験者には健康上好ましくない血管収縮が見られ、血流が減少した。

 だが、次に面白おかしい心温まる映画を見てもらうと、血管は拡張した。全体的に、重いシーンとお笑いシーンの間で、血管の直径は30~50%も変動した。

■仕事のストレスを避ける

 身体的・精神的ストレスの多い職場環境は、以前から健康悪化に関連があるとされてきた。

 フィンランドのヘルシンキ大学(University of Helsinki)のTea Lallukka氏率いる研究チームは今回、最近の論文を精査した結果として、結果を残さなければならないという非常に強いプレッシャーとその要求に応えることが難しい職場環境という2つの要素が、心臓病ひいては早死にを招いているとする新たな研究成果を発表した。

 仕事のストレスと残業は、不健全な行動のほか、体重増加や肥満にも結びついていた。また、被雇用者は(雇用されていない人より)全般的に幸福感が高いことが明らかになった。

■チョコレートは良い、でも注意が必要

 心臓の健康増進のためにできる最もつらくなく、最も手軽な方法は、チョコレートを食べることだろう。

 これまでの研究は、カカオ豆をベースにした菓子が血圧低下や血流改善に関連していることを立証してきた。その理由として、カカオ豆に含まれる抗酸化物質が指摘されてきたが、影響の程度や範囲については不明な点が多かった。

 英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のオスカー・フランコ(Oscar Franco)氏のチームは、心臓病の有無に関係なく計10万人の患者を対象にした6つの研究を精査し、チョコレートの消費量が最多のグループと最少のグループを比較。消費量が最多のグループでは、最少のグループより、心臓病の発症例が37%、脳卒中が20%、それぞれ少ないことが分かった。心臓発作では有意な減少は見られなかった。

 ただし、健康に良い分子はビターカカオに含まれており、一緒に混ぜられる砂糖や脂肪分には含まれていない。論文は次のように注意を促している。「市場に出回っているチョコレートは非常にカロリーが高い。食べ過ぎは太ったり、糖尿病や心臓病リスクが上昇したりする恐れがある」(c)AFP/Marlowe Hood