【8月30日 AFP】心房細動と呼ばれる心拍障害が引き起こす脳卒中の予防効果は、標準的処置よりも新薬アピキサバン(Apixaban)の方が高かったとする研究結果が29日、欧州心臓病学会(European Society of Cardiology Congress)で発表された。

 米デューク大(Duke University)のクリストファー・グランガー(Christopher Granger)教授のチームは、アピキサバンについて、商品化までの最後のステップとなる第3相の臨床試験を実施した。

 39か国1万8000人以上の患者を2つのグループに分け、片方にはアピキサバン5ミリグラムを1日2回、もう片方には血液検査の結果に応じて量を調節したワルファリンをそれぞれ服用してもらい、平均で1.8年間追跡した。ワルファリンは1950年代に開発され、現在、脳卒中の既往症がある人や脳卒中のリスクがある数百万人が服用している。

 その結果、アピキサバンはワルファリンに比べ、脳卒中と全身性塞栓症リスクが21%、大出血リスクが31%、総死亡リスクが11%、それぞれ有意に減少した。

 なお、ワルファリンでは服用量が必要範囲内に収まるよう常に監視する必要があるが、アピキサバンにはその必要がないという利点があることも明らかになった。

 ワルファリンのレベルは、食生活の変化やほかの薬剤の影響により変動しやすい。服用量が多すぎると、血液が「薄く」なりすぎ、けがをした時に出血が止まらなくなる恐れが出てくる。服用量が少なすぎると、血栓を防ぐという本来の役割が果たせなくなる。

 グランガー教授によると、ワルファリンを使った治療には以上のような制約があることもあり、心房細動による脳卒中のリスクがある患者のうち治療を受けているのは約半数にとどまっているという。(c)AFP