【8月20日 AFP】ドラッグの1種「エクスタシー」を血液がんの治療に使用する改良研究について、英バーミンガム大学の研究チームが19日、専門誌Investigational New Drugsに発表した。

 チームは6年前、白血球を侵すがんが、ある種の向精神薬に反応することを発見した。いわゆる「痩せ薬」やプロザック系の抗うつ剤と並び、アンフェタミン誘導体のMDMA、つまり「エクスタシー」が含まれていた。

 同チームによると、エクスタシーをそのまま使用すると、がん治療に効果をもたらす量は致死量になってしまうため、エクスタシーの中のがん細胞破壊成分だけを抽出することにした。今回開発された改良版の効果は100倍になるという。現在は、がん細胞の細胞壁にこの成分をさらに浸透しやすくする方法を研究している。

 同大の免疫学・感染症学教授、ジョン・ゴードン(John Gordon)氏は「この改良型MDMAを血液がんに苦しむ人たちの治療に使うにあたっての大きな一歩だ。患者に誤った期待を抱かせたくはないが、この研究の結果からは、近い将来、治療法の向上が期待できる」と語っている。改良型では、白血病やリンパ腫、骨髄腫などの血液がんの治療に効果が期待できるという。

 基金によって運営されている英国の白血病・リンパ腫研究所(Leukaemia and Lymphoma Research)の科学ディレクター、デビッド・グラント(David Grant)医師は「多くのタイプのリンパ腫の治療は、いまだ難しい状態。治療効果があり、副作用も少ない薬が切実に求められている」と言う。(c)AFP