【5月12日 AFP】男性の同性愛者は男性の異性愛者と比べると、がんにかかる割合が1.9倍に上る可能性があるとの研究結果が9日、学術誌「Cancer(がん)」に発表された。

 研究チームが資料に使用したのは、米カリフォルニア(California)州で2001、2003、2005年に合計12万人以上を対象に実施された調査。自己申告のデータを基にしており、同種の調査では米国最大規模。

 調査によると、成人した後にがんと診断されたことのある人の割合は、男性同性愛者が男性異性愛者の1.9倍だったという。女性の同性愛者と女性の異性愛者との間では、こうした差異はみられなかった。

 この調査では男性同性愛者ががんになった割合が高い理由は明らかにされていないが、研究チームは、性交渉で感染するヒトパピローマウイルスや、ヒト免疫不全ウイルスの合併症による肛門がんの割合が高いことが、その一因だろうとしている。

 論文の主執筆者、ボストン大学公衆衛生大学院(Boston University)のウルリケ・ベーマー(Ulrike Boehmer)氏はこのデータについて、同性愛者のコミュニティーに対する情報提供に役立てることができると述べるとともに、「多くの男性の同性愛者が、がんを克服したと報告している。がんの予防と早期発見に焦点を当てた、男性の同性愛者のためのプログラムを作成することが必要だ」と指摘した。
 
 また今回の研究は、調査時点で生存していた人のデータのみに基づいているため、全体的な実態を反映していない可能性があり、男性の同性愛者の方ががんになるリスクが実際に高いのかどうかを判断するにはさらに研究を重ねる必要があると述べた。(c)AFP