【4月26日 AFP】中国の武術、太極拳を行うことで慢性心不全の患者の日常生活に良い効果がもたらされるという研究結果が25日、米国医師会(American Medical Association)の内科専門誌「アーカイブス・オブ・インターナル・メディシン(Archives of Internal Medicine)」に発表された。

 ボストン(Boston)で行われた研究によると、滑らかな動きの太極拳を週2回、1時間ずつ行うだけで気分が大きく好転したり、自信が深まったりすると言う。

 研究では、太極拳のクラスに参加している心臓病患者50人と、心疾患に関する講座の受講生50人を比較した。身体的反応はどちらの参加者も同様だったが、感情の状態に関するアンケートでは、太極拳クラスの参加者に有意な改善がみられた。

 また太極拳クラスの参加者のほうが、「自己効力感」(何らかの行動を遂行できる自信)が高まり、日常活動が増え、それらに関連して充足感が高まったという回答を寄せた。

 論文は、この結果の科学的裏付けを完全に把握することは難しいとしながらも、衰弱が進行し、呼吸する力や体の動きが制限される慢性心不全の患者に対し、標準的な治療法を補完する有益な選択肢を増やす結果だと認めている。

 論文の主著者で、ハーバード大医学部(Harvard Medical School)代替医療・統合医療研究教育部門の準教授でもある米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター(Beth Israel Deaconess Medical Center)のグロリア・イェー(Gloria Yeh)氏は、太極拳は従来の運動強度が低~中程度のエクササイズに代わる安全な選択肢になりうると言う。

 これまでの研究でも、ゆっくりと流れるような動きを繰り返して体の重心を移動していく太極拳は、高血圧や線維筋痛の改善、またストレス緩和などに効果があるとされてきた。(c)AFP