【4月21日 AFP】糖尿病の代表的な合併症である腎不全を、高脂肪・低炭水化物の食事を1か月程度続けることで改善できる可能性があることが、マウスの実験で示されたとする論文が20日、オンライン科学誌「PLoS ONE」に掲載された。

 低炭水化物食(ケト原性)ダイエットと呼ばれるこのダイエット法は、体内の炭水化物と糖分を欠乏させ、ブドウ糖の代わりに脂肪を燃焼させるというもので、薬物耐性てんかんの子どもの治療に使われることが多い。

 このダイエットについては、ブドウ糖の毒作用を妨げることから、何人かの医師が糖尿病患者に効果がある可能性を理論化している。ただし、ブドウ糖を制御するインスリンが不足する糖尿病では有害となる可能性も指摘されている。

■マウスで実験

 米ニューヨークのマウントシナイ病院(Mount Sinai Hospital)の研究チームは、糖尿病患者への効果を確認するため、遺伝的に1型または2型の糖尿病を発症しやすいマウスを使った実験を行った。2グループに分け、片方には標準的な高炭水化物の食事を、もう片方にはケト原性ダイエット食を与えた

 8週間後、後者のグループでは腎不全が改善されていた。

 論文は、このような長期のケト原性ダイエットに適していない人間の場合は、1か月程度で体を「リセット」し、腎不全を改善できる可能性があるとしている。また、今回の結果は、ダイエット効果を模倣する薬理学的介入の前提となる薬剤標的の特定につながるものだと述べている。

 研究チームは今後、失明の原因でもある網膜症などの神経疾患にケト原性ダイエットが及ぼす影響なども調べる予定だ。(c)AFP