【3月20日 AFP】米ノースウエスタン大(Northwestern University)などの研究チームは9日、末期の乳がんおよび肝がんの腫瘍(しゅよう)をナノダイヤモンド(炭素の微小粒子)を使って治療する方法を見つけたと、米科学誌「Science Translational Medicine」に発表した。

 これらの腫瘍は通常、化学療法に使う薬剤への耐性を持っている。今回発明された方法は、化学療法薬ドキソルビシンをナノダイヤモンドに結合させるというもので、マウスを使った実験で効果が確認された。

 実験では、マウスに、ナノダイヤモンドを結合させたドキソルビシンか、ナノダイヤモンドを結合させないドキソルビシンを投与してみた。後者は腫瘍に効果がなく、投与量を増やすと効果が強すぎてマウスが生存できなかったのに対し、前者は、ナノダイヤモンドがドキソルビシンを腫瘍に浸透させ、腫瘍を大幅に縮小させることが確認された。

 転移性のがんでは化学療法薬を投与しても90%で効果がないことから、この手法は非常に有望だ。

 研究チームのディーン・ホー(Dean Ho)氏によると、化学療法薬を浸透させる媒体としてナノダイヤモンドに興味を持ち始めたのは3年以上前のこと。水とよくなじむナノダイヤモンドが自動車に使用されていることに気づいたことがきっかけだという。親水性は、医学的用途においても重要な要件の1つだ。

 ナノダイヤモンドは通常、採掘や石油精製の現場で起きる爆発により形成される。隕石(いんせき)の落下によっても生成されると考えられている。

 ホー氏は、大型動物での実験、臨床試験を経たのち、この手法が数年以内に実用化される可能性があると話した。(c)AFP/Kerry Sheridan