【2月10日 AFP】ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している母親から生まれながら、幸いHIVの母子感染を逃れた乳児も依然、さまざまな感染症にかかりやすく、HIV感染者でない母親から生まれた子に比べ、最初の1年以内に死亡する確率が4倍であることが明らかになった。

 8日の米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)に発表された研究は、南アフリカでHIVに感染している母親100人と彼女たちから生まれた子どもを調査し、母親のHIVを受け継いだ乳児と、受け継がずにすんだ乳児の抗体レベルを比較した。
 
 するとHIVを受け継がなかった乳児でも、ワクチンで予防可能な百日咳や破傷風、肺炎球菌感染症などへの抗体レベルが低かった。論文では「この子どもたちが、下気道感染や髄膜炎にかかる確率が高いグループで、誕生後1年以内の死亡率は4倍にもなる。HIVにさらされながら感染しなかった乳児でも感染症の罹患率や死亡率が高い理由は、免疫反応が変化してしまったためと思われる」と分析している。

 HIV陽性で生まれてくる乳児の数は、母親が妊娠中に使用できる感染予防薬のおかげで、この10年で劇的に減少した。しかし、HIVに感染している母親から生まれる乳児の数は、その乳児へのHIV感染を防ぐ措置が発展したおかげで、特に開発途上地域を中心に増加している。

 一方で通常の感染症は依然、5歳以下の子どもに最も多い死因で、毎年世界で600万人の子どもが亡くなっている。特に世界の貧困地帯ではワクチンはいつでも入手できるわけではない。

 抗体レベルの低さと死亡率の高さの関係を確かにするためには、さらなる研究が必要で、また貧困国へワクチンをもっとうまく供給する方法を考えるべきだと、研究チームは述べている。(c)AFP